テスラ(NASDAQ:TSLA)の投資家にとっては悪夢のような春が終わりを迎え、今年の夏に向けて良いサインが現れ始めている。
同社は先週に、第2四半期の販売台数が過去最高の9万5200台となったことを発表した。前回の記録は2018年第4四半期の9万700台である。また、アナリストの予想では9万1000台となっていた。
モデル3のディスカウントを行った後でさえ、第1四半期の販売台数は大幅に落ち込んでいた。第2四半期で過去最大の販売台数を達成したことは、同社に新しい風を吹かせるだろう。
販売台数は過去最大を記録したが、同社にはまだ課題が残されている。
我々が懸念しているのは収益性がまだまだ危機的な状況にある点だ。欧州やカナダの強い需要に支えられ第2四半期の販売台数は拡大したものの、高級SUVのモデルS、モデルXは苦戦している。
モデルS、モデルXの第2四半期販売台数は1万7650台まで減少している。これは前年通期比で20%以上、今年第1四半期比では50%の減少となっている。高級帯の両モデル利益を普及帯のモデル3が共食いしていることで長期的な収益見通しが悪化していると多くのアナリストが指摘している。
世界販売台数目標は達成可能か
第2四半期の販売台数は拡大したものの、36万台から40万台という世界販売台数の目標を超えられるかどうかは定かではない。
テスラのプレスリリースはこの点について触れていない。米国におけるテスラ車購入時のEV税控除制度は段階的に減額されており、2020年以降は控除が終了する止まることになっている。このことも米国内での販売ハードルを引き上げる要因になるだろう。
テスラは海外市場に依存することになるだろうが、その際の物流コストも痛手になることが考えられる。
先週の過去最大の販売台数のニュースにもかかわらず、これらの懸念材料から、多くのアナリストはテスラに関し悲観的な見方を続けている。
ゴールドマン・サックスのDavid Tamberrinoアナリストは「第3四半期において、テスラ車需要や販売台数は縮小すると見ている」と記した。同氏はテスラの目標株価を158ドルとし、「売り」と格付けしている。
バークレーのBrian Johnsonアナリストは目標株価を150ドル、格付けを「アンダーウェイト」としている。
同氏は「テスラはキャッシュを生むべく販売台数を最大化することに邁進している。しかしこの第3四半期も赤字になると見られ、収益性に課題が残る」と指摘している。
総括
テスラ株は依然として不安定な状況下にある。
EV需要が全体的に縮小する場合はますます業績見通しが悪化し、キャッシュフローに課題が残るだろう。
直近の上げ相場は調整と見て、今はまだ買いを控えるのが良いだろう。