今週は、4か国において中央銀行による金融政策が発表される。その中でも、米国のFOMCが最も重要だろう。16日では、米ドルが対円以外では上昇した。
16日、米国債利回りは3週間で最大の低下となり、米国株式市場は大幅下落となる中、ドル円は下落した。また市場はFOMCを前に、数々の情勢不安に対しより神経質になっている。16日に発表されたニューヨーク連銀製造業景気指数は、市場予想より大幅な落ち込みとなった。さらに、同日発表された中国の小売売上高や、鉱工業生産などの経済指標も市場予想を下回った。そして、14日ではサウジアラビアの石油施設の攻撃があり、米国はイランの関与を主張し米国とイランの関係が悪化している。
トランプ大統領は、米軍は「検証結果によって臨戦態勢をとる」と自身のツイッターで表明した。一方イランはのロウハニ大統領は16日、イエメンの反政府武装組織による犯行を主張している。
このサウジアラビアの石油施設への攻撃を受けて、WTI原油は16日(月)に10%以上の窓開けをした。米国エネルギー省は14日、緊急時のために備蓄している戦略的石油備蓄を放出する準備があることを発表していたが、それを物ともしない上昇であった。
この事件が原油市場の供給に与える影響は実際は限定的であるが、米国とイランの懸念は今後も原油価格とカナダドルを押し上げる可能性は高いだろう。ドル/カナダドルは1.3150まで下落する可能性がある。
中国の小売売上高と鉱工業生産が著しく弱い中で、豪ドルとNZドルは下落基調になっている。
またオーストラリア準備銀行(RBA)は9月3日の会合の議事要旨を17日に公表した。世界経済や国内経済の進展を考慮し、必要なら追加利下げを実施する考えが示されていた。中でも、失業率の改善が金融政策の上で重要視されていることが述べられていた。
ユーロと英ポンドも16日に急落した。欧州中央銀行(ECB)のレーン理事は16日、新たな債券買い入れ策について長期にわたって続ける余地がある考えを示し、ユーロへの売り材料となっていた。また、9月ZEW景況感指数は本日に発表が控えている。ドイツの景気後退への懸念は高まっており、大規模な景気刺激策が市場から期待されている。
一方、ポンドはブレクジットによるリスクによって売り圧力を受けている。ジョンソン英首相は16日、EUのユンケル委員長との会談を行い、10月31日の期限に対し延長をしないことを公言した。一方、その後ジョンソン英首相はルクセンブルクのベッテル首相と首脳会議を行った。首脳会談後の記者会見でベッテル首相は、離脱協議の現状は明確な代替案など何もないジョンソン英政権に対して痛烈な批判を展開した。離脱延期をEUに求めることとなれば、ルクセンブルクを含むEU加盟27か国による全会一致が必要である。