長引く米中貿易戦争の影響を受け、米国市場における第3四半期の決算報告は低調な結果となっている。
ファクトセットのデータによれば、S&P 500における第3四半期の利益は前年比4.1%減少すると見込まれている。第1四半期では0.4%、第2四半期では0.3%の減少となっており、予想通りの結果となれば3期続落となる上、2016年第1四半期以来の大幅な減少となる。
セクター別では、エネルギー、IT、素材セクターを中心に、計6つのセクターで減少が見込まれている。一方で増加が見込まれているのは公益事業と不動産などの4セクターのみである。
また資本財セクターは横ばいとなる見込みだ。
一方で収益成長率にも懸念が残る。第3四半期の収益成長率(前年比)は約2.7%と予想されているが、この値は2016年第3四半期以降最低の数値である。また素材、エネルギー、金融の3セクターでマイナス成長が見込まれている。一方でヘルスケアや公益事業を含む8セクターでは収益の成長が見込まれている。
低調な結果が予想される2セクター
エネルギーセクター:原油価格の下落を受け
エネルギーセクターは原油価格の下落により打撃を受けており、全セクターで最大となる35.2%の減少(前年比)が見込まれている。6月から9月における原油の平均価格は56.44ドルとなり、前年同期比で19%の下落となった。
エネルギーセクターでは3つのサブセクターで利益の減少が予想されている。特にOil & Gas Exploration & ProductionはEPSが46%減少する見込みだ。また利益についてもIntegrated Oil & Gasは45%の減少、Oil & Gas Refining & Marketingは15%の減少となる見込みだ。第3四半期にWTI原油先物が7.5%下落したことを受け、これら28の企業のうち、エクソン・モービル(NYSE:XOM)、シェブロン(NYSE:CVX) 、オクシデンタル・ペトロリアム(NYSE:OXY)などの25社でEPSの減少が見込まれている。
素材セクター:商品価格の下落を受け
素材セクターの利益は11セクターで3番目の規模となる前年比9.3%の減少が見込まれている。同セクターの収益は商品価格の下落の影響を受け12.8%減少すると予想されている。
またMetals & Miningでは55%の減少、Containers & Packagingでは15%の減少となる見込みだ。また特に低調となると予想されている企業はニューコア(NYSE:NUE)とフリーポート・マクモラン(NYSE:FCX)で、前者の予想EPSは前年同期の2.33ドルから減少して0.87ドル、後者の予想EPSは前年同期の0.35ドルから減少して0.02ドルとなっている。
好調な結果が予想されるセクター
公益事業セクター:全サブセクターで成長か
公益事業セクターは利下げの恩恵を受け、利益の伸びは全11セクター最大の4.2%となる見込みだ。
同セクターでは全サブセクターで成長が見込まれており、特にガス部門のEPSは20%の増加が見込まれている。
またデューク・エナジー(NYSE:DUK)とネクステラ・エナジー(NYSE:NEE)にも目を向けるべきだ。デュークの収益は前年度の51億5000万ドルから71億3000万ドルに、またネクステラ・エナジーの収益は前年度の44億2000万ドルから51億5000万ドルに増加すると予想されている。
同セクターの主要ETFであるユーティリティーズ・セレクト・セクター SPDRファンド(NYSE:XLU)は第3四半期11%の上昇となっており、S&P 500の8%を上回っている。低金利となる中で魅力的な利回りを提供する同ETFは、史上最高の水準で取引されている。