テスラ (NASDAQ:TSLA)の株価は、反落している。
22日の同株は6%以上下落し、333.04ドルとなった。好調な第3四半期決算が発表された10月23日以降、同株は40%以上の上昇を見せてきた。今回の反落の原因として、21日に行われた期待外れの新型車発表会が挙げられる。
同社CEOのイーロン・マスク氏は、新型車がマーケットシェアを拡大すると喧伝してきた。米国においてピックアップトラックは非常に人気がある一方、フォード・モーター (NYSE:F)やゼネラル・モーターズ (NYSE:GM)などの既存プレイヤーにとって有利な市場でもある。
したがって、同社は革新的なデザインや費用対効果などによって、競合を上回っていることを示さなくてはならなかった。しかし、同社の発表会は、投資家から非難の上がる結果となった。
バーンスタインのアナリストであるToni Sacconaghi氏は発表会後、「テスラの新型車である『サイバートラック』は、奇妙なデザインだ」と記した。また、「マスク氏は投資家に対して警告したのだ。テスラのピックアップトラックが、『さながらブレードランナーのように未来的』というのは冗談ではないと」と述べた。
しかし、多くのアナリストは、ピックアップトラックの市場でGMやフォードの牙城を崩せるとは考えていない。
エバーコアのアナリストは、発売後の2年間で販売台数が50000台に届くのは難しいと見ている。仮に、50000台に到達した場合、同社の売上高は25億ドル増加すると予想される。ブルームバーグによると、コンセンサス予想では、同社の2020年の売上高は420億ドルとなっている。
「マスク氏はブレードランナーにインスパイアされたデザインに対して何ヶ月も拘り続けた。しかし、我々は、マスク氏の夢が打ち砕かれると考えている」とCowen社のアナリストであるJeffrey Osborneは語った。
テスラが抱える多くの問題
アナリストは、新型車の製造の遅延に対して懸念を抱いている。また、テスラは過去にも、非公開化のツイートやソーラーシティを巡る訴訟など様々な問題を起こしてきた。
同社は第3四半期決算で1億4300万ドルの純利益を示したものの、利益率の向上に対しては前途多難である。第3四半期決算の後に同株は急騰したが、売上高は前期比、前年同期比共に減少していた。また、通年業績見通しも下方修正している。
同社が過去に起こしてきた問題の数々を考慮すると、現在の割高な株価は、突然の問題発生によって崩壊することが予想される。予想PERは75倍となっており、同社に将来性に対する高い期待感が窺える。
総括
テスラの株価は非常に割高な水準となっている。テスラ車に対する需要は不透明であり、同社のキャッシュフローは依然として改善していない。マスク氏は、「サイバートラック」を発表し、膨大広告を繰り返している。しかしながら、それによって、同社に対する懸念が消失するとは我々は考えていない。