新型コロナウイルスが経済へ大打撃を与える中、米大手小売企業は苦戦を強いられている。今週発表される四半期決算から、新型ウイルスの影響について手がかりを得られるだろう。
15日発表の4月米小売売上高は前月比16.4%減となり、1992年以来の大幅なマイナスとなった。これを受け、新型ウイルス流行下における消費の滞りが明らかとなった。
このような状況下で生き残れるか否かを決定する要因は、キャッシュフローや負債の水準である。本稿では、我々が注目する3社を紹介する。
1.ホーム・デポ
ホーム・デポ (NYSE:HD)は19日の寄り付き前、第1四半期(2-4月期)決算を報告する。予想では売上高が275.8億ドル、EPSが2.27ドルとなっている。
雇用市場は悪化し、消費者支出が減る中、同社は数多くの困難に直面している。
同社の店舗営業がロックダウンによって中断されていたため、売上高は大きく低迷する可能性がある。したがって、既存店売上高が4%増になるとの同社の見込みは、覆るかもしれない。
しかし、同社は同業他社よりも、新型ウイルスによる不景気を乗り切る可能性が高い。同社は新型ウイルス流行前、店舗の改装やデジタルへの投資などへ110億ドル投資していた。
この投資により、同社の既存店売上高は新型ウイルス終息後、すぐに回復すると見られている。
また、堅調な住宅市場の強さも追い風となっている。同株は年初来で約10%高となっており、11%安のS&P500をアウトパフォームしている。
2.ウォルマート
米最大の小売業者であるウォルマート (NYSE:WMT)は19日の寄り付き前、第1四半期(2-4月期)決算を報告する。予想では、売上高が1310億ドル、EPSが1.13ドルとなっている。
新型ウイルスの流行で消費者が必需品や食品の買いだめに走る一方、同社はロックダウン中にも営業を継続していた。
政府や他企業が新型ウイルスに対処する中、同社はEコマースやヘルスケアへの多額の投資と150万人の労働力により、全米に商品を送り届けることができる。
同社は各四半期で好決算を報告しており、オンライン売上高も増加している。そのため、同株は年初来で約6%高となっている。
既存店売上高とオンライン売上高に注目が集まっている。
3.メイシーズ
新型ウイルスを受け、メイシーズ (NYSE:M)は第1四半期(2-4月期)決算報告を7月1日まで延期した。同社は21日の寄り付き前、第1四半期の業績速報を発表する。
同社は新型ウイルスの影響で775店舗を閉鎖した後、4月上旬から従業員の大半を解雇した。
同社CEOのジェフリー・ジェネット氏による再建計画は失敗に終わったため、同社は新型ウイルス流行前から苦戦を強いられていた。市場の関心は、同社が新型ウイルスの不況を乗り越えられるほど、財政的な余裕があるか否かに集まっている。
ブルームバーグによると、同社は不動産を利用してキャッシュを確保し、新型ウイルスの流行を乗り越える方法を模索しているとのこと。不動産や他の資産を担保にして、証券を発行すると見られている。
同株は年初来で約70%安となっている。