フェイスブック (NASDAQ:FB)は以前、不祥事に巻き込まれていたものの、年初来で同株が値を上げている。
英ケンブリッジ・アナリティカが同社の個人情報を政治広告に利用した問題や、2018年上旬の個人情報の漏洩を受け、同社は規制当局からの調査を受けていた。
しかし、プライバシーへの懸念をよそに同株は値を上げており、22日には過去最高値である235ドルを記録した。
同株は年初来で11%高、3月中旬から56%高となっている。
景気が悪化する中、同社の頑健なバランスシートとマーク・ザッカーバーグCEOの手腕へ期待が寄せられている。
ザッカーバーグ氏は19日、メッセンジャーやワッツアップ、インスタグラムを含む同社のソーシャルメディア上で、Eコマース機能の強化を発表した。
Eコマース
フェイスブックのEコマースの強化により、新型コロナで苦労する中小企業が手軽にネット通販を始められる。
フェイスブックショップスと呼ばれるこの機能は、企業が商品の写真や価格を入力することで、オンラインショップを始められるようにするものだ。
ザッカーバーグ氏は19日「フェイスブックのEC機能によって、物理的な店舗が営業できない場合でも、ビジネスを継続できる」と語った。
同社のEコマース機能の強化は市場から好感された。新型コロナの影響によるデジタル広告事業の低迷を、緩和できる可能性がある。
一部のアナリストは、フェイスブックショップスがEコマース分野で重要な地位を占めると見ている。
モルガン・スタンレーのアナリストであるBrian Nowak氏は、フェイスブックショップスには「数百億ドルの可能性」があると見ている。また、ドイツ銀行のアナリストであるLloyd Walmsley氏は、同社の業績に300億ドルのインパクトがあると見ている。
しかし、同社が抱えるリスクにも留意すべきである。アナリストの推計によると、同社の収益の約30%~40%は、新型コロナの影響を受ける広告カテゴリーからもたらされている。
旅行や消費財、エンターテイメントなどへの支出減は、今後12ヶ月から18ヶ月に渡って、同社の収益に影響を与える可能性が高い。
総括
フェイスブックは、莫大な顧客基盤と積極的な事業投資を駆使して、成長を加速させている。そのため、同株は長期投資におすすめの銘柄となっている。しかし、世界中の企業が広告費を削減している中、短期的には業績が下振れする可能性がある。