アップル (NASDAQ:AAPL)の株価は3月23日以降反発している。年初来では約10%高となっており、現在318.89ドルとなっている。今後、新型コロナウイルス流行前の史上最高値である327.2ドルを、突破する可能性がある。
今後の焦点は、同株の強気がどれほど持続するかである。また、今が同株の買い時なのか否かである。
今後、同社の下振れリスクはますます高まっていくと見られる。現在の同社が直面している最大の懸念は、米中貿易摩擦の再燃である。ドナルド・トランプ米大統領は今月、米国企業に対してファーウェイ製品調達禁止の大統領令を1年延長した。
さらに米商務省は先週、米国のテクノロジーや製品へのアクセスを制限する対象を掲載した「エンティティーリスト」を拡大し、中国の企業・大学の24団体が新たに含まれた。トランプ氏は新型ウイルスの流行について中国を非難しており、米中関係はここ数カ月で劇的に悪化している。
信頼できない企業
中国共産党の機関紙である環球時報のHu Xijin氏は、アップルやクアルコム (NASDAQ:QCOM)、シスコ・システムズ (NASDAQ:CSCO)を信頼できない企業と述べ、ボーイング(NYSE:BA)からの航空機の購入を停止する可能性があると警鐘を鳴らした。
中国の王毅外相は24日、米国は中国との関係を「新たな冷戦」へ推し進めていると述べた。
アップルはここ数年間、中国で大規模なサプライチェーンを構築してきた。そのため、米中情勢の影響を最も大きく受ける企業である。同社のサプライチェーンでは約200万人の従業員が働いており、同社のアプリ開発に携わるエンジニアも約200万人いる。同社の製品のほとんどは、米国で設計し、中国で製造されている。
また、一部のアナリストは、同社が新型ウイルスによる不振からすぐに回復するか否かについて疑問を呈している。
ゴールドマン・サックスは、iPhoneやサービスへの需要が鈍化していることを挙げ、同株を「中立」から「売り」へ下方修正した。
アナリストのRod Hall氏は、5G対応iPhoneの発売延期を懸念している。同氏は「渡航制限などを受け、iPhoneの発売が遅れる可能性がある」と語った。
先月に第1四半期決算を報告したものの、10年ぶりに業績予想の発表を見送った。
総括
米中間の緊張が高まる中、今後もアップルが強気を持続するか否かが焦点となる。米中貿易戦争が最も激化していた時期、アップルは大きく値を下げていた。今後、再びアップルは値を下げるかもしれない。