現在の市況下で投資判断するのは簡単ではない。過去2カ月間に渡って、株式市場は実体経済とは真逆の値動きとなっている。株価は3月の安値から大きく反発しているが、経済は新型コロナウイルスの影響で壊滅的な打撃を受けている。
そこで、米株式市場に対する弱気の見通しを、撤回する動きがある。例えば、ゴールドマン・サックスのストラテジストは、S&P500が2400の水準まで下落するとの予想を撤回した。
さらに、同指数が3200まで上昇する可能性があると言及した。ストラテジストは先週、「S&P500は強力に反発しており、2400を実現する可能性は低い」と語った。
今後景気が回復していく場合、景気と密接に連動する銘柄を購入することは理に適っている。そこで、景気回復とともに上昇する可能性の高い3セクターを紹介する。
1.銀行
銀行は現在の景気後退下の中で最も打撃を受けたセクターである。市場では、ほぼゼロに近い金利と不良債権が増加するとの懸念から、敬遠されているセクターである。
例えば、JPモルガン・チェース (NYSE:JPM)の第1四半期決算では、利益が前年同期比69%減となった。これは、同社が不良債権の増加に備え、82億9000万ドルを引き当てたためである。
また、今後は長期間に渡って低金利が続く可能性がある。
しかし、経済活動が再開されるにつれ、一部の投資家は銀行にとって最悪の事態は過ぎ去ったと考えている。JPモルガンとシティグループ (NYSE:C)の株価は先月急騰し、それぞれ12%高の104.27ドル、17%高の53.34ドルとなった。また、両社は高配当であることが特徴的である。JPモルガンの配当利回りは3.64%、シティは4%となっている。
しかし、新型ウイルス流行前と比較すると、依然として値を下げている。今がエントリーのタイミングかもしれない。
2.資本財
急速な景気回復を予想する場合、スリーエム (NYSE:MMM)のような、健全なバランスシートと多角化された製品を持つ資本財セクターに投資するのも良いだろう。
世界最大級のコングロマリットであるスリーエムは、3月の安値以降約40%高となっている。
ポストイットから医療用マスクN-95まで幅広い製品を製造している同社は、マスクや洗浄剤製品の需要増の恩恵をうけている。また、同社の配当利回りは3.78%となっている。
3.航空
新型ウイルスが世界的に流行して以降、航空セクターは大きく値を下げている。また、症例数が未だ増加しており、治療法も確立されていないため、多くの人が同セクターを避けている。しかし、この状況が永遠に続くわけではない。
ダウ・ジョーンズ米航空株指数は3月の安値から、3分の1程値を戻して反発している。
アメリカン航空(NASDAQ:AAL)のダグ・パーカー最高経営責任者(CEO)は先週、以下のように述べた。
「我々は十分な水準まで流動性を高めるつもりだ。この危機の中で道を踏み外してはならない」
同株は過去1カ月間で約11%高となっている。
米航空会社は、米政府による総額250億ドルの資金支援を活用している。また、ブルームバーグによると、アメリカン航空は別枠で47億5000万ドルの融資を政府に申請している。
しかし、新型ウイルスの治療薬が確立された場合、同株は大きく値を上げるだろう。ヘッジファンドのミラー・バリュー・パートナーズの創設者であるビル・ミラー氏は、航空会社を所有していなければ、ワクチンの可能性に賭けていないも同然と指摘している。
ミラー氏は先月「ワクチンがあれば、人々は飛行機に乗るだろう」と語った。また、「ワクチンがあれば全ての問題は解決され、航空株はすぐに反発するだろう」と述べた。