新型ウイルスを受け、FRBは銀行に対して、配当や自社株買いに制限を課している。
FRBは26日、大手銀行33行に対し、少なくとも9月までは増配や自社株買いを認めない方針を示した。
今回の決定はFRBが毎年行っているストレステスト(健全性審査)の後に行われた。FRBは2008年のような金融危機を回避するために、銀行の配当や自社株買い、債権回収計画などに介入できる。
また、FRBのストレステストでは、銀行の配当額が過去4半期の平均純利益を超えてはならないと規定している。
FRBのランダル・クオールズ銀行監督副議長は「銀行の状況を注意深く評価し、今後数か月の間、自己資本比率を維持するための慎重な措置を取るように大手銀行へ要求している」と述べた。また、以下のように語った。
「銀行はこのような厳しい状況下においても十分な資本を維持している」
数か月に及ぶ新型ウイルスの中、大手銀行は株主への還元政策を変更しなかった。2020年第1四半期、米大手商業銀行のバンク・オブ・アメリカ (NYSE:BAC)やシティグループ (NYSE:C)、JPモルガン・チェース (NYSE:JPM)、ウェルズ・ファーゴ(NYSE:WFC)は全て配当を支払っており、JPモルガンとウェルズ・ファーゴは純利益を上回る額の配当であった。
アンダーパフォーム
KBW銀行株指数 (NASDAQ:KBWB)は26日、6.4%安となった。
新型ウイルスと低金利の影響で、同指数は年初来で36%安となっており、S&P500を大幅に下回っている。
今後新型ウイルス第2波が到来した場合、銀行株はさらに下押し圧力をうけるだろう。景気がより悪化した場合、FRBによる配当の制限はさらに厳しくなる可能性がある。
とはいえ、全ての銀行が同じ状況ではない。例えば、ウェルズ・ファーゴとキャピタル・ワン・ファイナンシャル (NYSE:COF)は間もなく減配の可能性が高いが、シティグループとモルガン・スタンレー (NYSE:MS)は現在の配当を継続する可能性がある。
モルガン・スタンレーによると、ウェルズ・ファーゴは第2四半期の配当を0.51ドルから0.36ドルに減配し、キャピタル・ワンは現在の0.4ドルから配当を0にする必要があるという。
「さらに景気が悪化する場合、(FRBは)第4四半期からは配当の停止など、さらに厳しい措置を取る可能性がある」とJaret Seiberg社のアナリストであるCowen氏は語った。
また、「FRBの見通しには、莫大な景気刺激策が織り込まれていない」と同氏は述べた。
総括
かつては、安定して増配を繰り返す銀行株は魅力的な銘柄であった。しかし、新型ウイルスの影響で、今後の銀行の還元政策は、かなり不透明である。