買い推奨銘柄および売り推奨銘柄 Novavax, American Airlines
感謝祭明けの短縮取引日となった金曜日に、米国株式市場は売られる展開となった。新たなコロナウイルスの変異株の発見を受けて、株式指数S&P 500種指数は大きく下落した。
世界保健機関は南アフリカで最初に検出されたB.1.1529を「懸念される変異株」に指定した。当指定は1年前に指定されたデルタ株以来となる。この新たな変異株は「オミクロン株」と名付けられたが、これまでの変異株よりも脅威となるのかは現時点では不明だが、科学者や保健当局は既存の変異株よりも感染力が強い可能性を懸念している。
また、今週はイベントに富んだ週となる。投資家は長引くコロナ禍の動向を注視している中で、FRB議長 Jerome Powellの議会証言が控えている。また重要な経済指標等の発表もあり、最新の 雇用統計の発表や、Salesforce (NYSE:CRM)、Crowdstrike (NASDAQ:CRWD)、DocuSign (NASDAQ:DOCU) などの決算発表も続く。
市場動向に関わらず、下記の企業は短期的には堅調に推移するとみられ、もう一社は弱気にみている。
下記の見通しは今後1週間の見通しである。
買い推奨:Novavax
新たに検出されたオミクロン株を巡るコロナ禍に関する報道が今週の市場センチメントに影響を与えることだろう。このような中、すでにオミクロン株に有効なワクチン開発を開始したと発表したNovavax (NASDAQ:NVAX)には買いが集まる見通しだ。今後数週間以内に同社は治験および生産体制を整えるとしている。
NVAXは111.51ドルで本年の取引を開始し、2月には331.00ドルの上場来高値に達したあと、先週金曜日は217.97ドルで取引を終えた。これは9月28日以来の高水準だ。現在、同社の時価総額は165億ドルに達している。
同社はコロナウイルスに有効なワクチン開発を受けて、来年の収益も下支えされるとみられている。年初来、株価は95.5%上昇しており、同期間中22.3%上昇したS&P500種指数をアウトパフォームしている。
当月上旬に同社のワクチンはインドネシアでの緊急使用許可を受けており、2021年末までには米国でも緊急使用許可を得る見込みであると発表している。その他、欧州医薬品庁やカナダでも承認申請を進めている。
同社の有するナノ粒子ワクチン技術を利用し、既存および新たな疫病に有効なワクチンの開発を行っている。
売り推奨:American Airlines
再びコロナ禍の深刻化が意識されており、感染防止を目的として、世界的に経済活動の制限やロックダウンが実施される可能性があり、American Airlines (NASDAQ:AAL) には下押し圧力がかかるとみている。
オーストラリアで最も人口の多い州であるニュー・サウス・ウェールズの保険当局は先週土曜日夜に南アフリカからシドニーに到着した乗客2名がオミクロン株の陽性反応を示したと発表した。
オーストラリアにおけるオミクロン株の感染の他、英国、ドイツ、イタリア、ベルギー、オーストリア、イスラエル、香港、ボツアナでも感染が確認されており、世界的に感染が広がっている。
感染率が上昇した場合には、南アフリカからの渡航制限を設ける国も出てくると予想される。すでに、米国、英国、欧州連合、オーストラリア、イスラエル、シンガポールは、同国からの渡航制限を課している。
64カ国に126の国際路線を有する同社は、このような渡航制限が広がった場合には、大きな悪影響を受けると予想される。
AALは先週金曜日に17.75ドルと9ヶ月以上ぶりの安値を記録し、時価総額は115億ドルとなった。
株価はコロナ禍前の2020年3月18日につけた26.09ドルから約32%低下しており、コロナ禍中の移動制限などを受けて航空会社が苦戦していることが確認できる。
現時点で、同社はSouthwest Airlines (NYSE:LUV)、 Delta Air Lines (NYSE:DAL)、United Airlines (NASDAQ:UAL)についで、米国第4位の航空会社となっている。