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商用化前のバイオテック・グループNovavaxの株価は1月に45%以上下落している。
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FDAはまだNovavaxのワクチンを米国内で使用することを承認していない。
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長期投資家は、特に70ドルに向かって下落した場合、NVAX株を押し目買いすることを検討可能。
バイオテック企業のNovavax (NASDAQ:NVAX) の株主は、リターンが過去52週間で38%以上、年初来では45%も下落している。それに比べて、Dow Jones Biotechnology Index は過去12ヶ月で約8%、年初来13%の下落に留まっている。
2021年2月9日、NVAXの株価は330ドルを超え、過去最高値を記録した。しかし、2022年1月24日には、株価は66.38ドルという52週間の最安値を記録した。
火曜日の終値では77.21ドルとなっている。株価の52週間のレンジは66.38ドルから331.68ドルで、現在の時価総額は59億ドルとなっている。
Novavaxは、感染症に対するワクチン開発に注力している。同社の経営陣は研究開発に資源を投入しており、その結果、長年にわたって軟調な決算を計上している。
当然のことながら、コロナ禍の際には同社は注目を浴びることになった。2020年3月初旬には、NVAXの株式は10ドル前後で取引されていた。つまり、最近の株価下落にもかかわらず、2年前に投資した1,000ドルの価値は、今では7,700ドルになっているということである。
世界保健機関(WHO)は、「コロナウイルスに対するNuvaxovid(NVX-CoV2373)ワクチンは2021年12月20日に、Covovax(NVX-CoV2373)ワクチンは2021年12月17日に、それぞれ緊急使用することを認めた。」
しかし、同社が開発したワクチンについては、米国食品医薬品局の承認がまだ得られていない。同社は最近、FDAへの申請に必要な最終データを提出した。また、欧州医薬品庁(EMA)は、Novavaxの対コロナウイルス・ワクチンNuvaxovid(別名:NVX-CoV2373)の「条件付き販売承認」のみを与えている。これは、タンパク質ベースのワクチンである。
一方、現在、4社(アルファベット順)が開発した3つのワクチンがFDAに承認されている。
また、イギリスをはじめとするヨーロッパの多くの国では、AstraZeneca (NASDAQ:AZN)が開発したワクチンが承認され、この1年で投与されるようになっている
そのため、仮にNovavaxのワクチンがすぐにFDAの承認を得られたとしても、この同社は他の競合他社ほどCOVID-19ワクチンの売上から利益を得ることはできないだろう。
直近の株価特性
同社は11月4日に第3四半期の決算発表を行った。開発契約のおかげで178.8百万ドルの収益を計上、純損失は3億2,240万ドルで、1株当たり4.31ドルとなった。前年同期の純損失は197.3百万ドル、1株当たり3.21ドルだった。
CEOのStanley C. Erck氏は次のように述べている。
「6ヶ月間のブースター試験で得られた非常に有望な結果は、これまでNVX-CoV2373が示してきた強力な有効性を補完するものであり、このワクチンが今後数年間、コロナウイルスと闘うための重要なツールとなることを確信している。」
対コロナウイルス・ワクチン以外にも、フェーズ3に入っている「NanoFlu」というワクチンがある。NanoFluは、65歳以上の成人を対象としたインフルエンザ対策として開発されている。
株式市場は、同社からすぐに利益が出るとは想定していない。そのため株価は投機的なものに留まっている。
四半期決算が発表される前、NVAXの株価は180ドル前後だった。現在では、3ヶ月以内に55%以上も下落し、低い水準で取引されている。
NVAX株の株価予想
Investing.comで調査した6人のアナリストの間では、同社株は「アウトパフォーム」の評価を受けており、12ヶ月間の平均目標株価は268ドルとなっている。このような動きは、現在の株価水準から240%をはるかに超える上昇を意味している。目標値の範囲は209ドルから305ドルの間である。
出所:Investing.com
同様に株価収益率(PER)や株価売上高倍率(PSR)、ターミナル値を考慮するような数多くの評価モデルによると、InvestingProによるNVAX株の平均適正株価は122.06ドルとなっている。
出所:InvestingPro
テクニカル・チャートをみている読者は、同社の短期・中期のオシレーターの多くが売られすぎていることに興味を持つかもしれない。数ヶ月とはいわないまでも、数週間は売られ続けるかもしれないがあるが、価格の下落も終わりに近づいている可能性がある。
NVAXは70ドル近辺で強力なサポートを得られると考えている。最初はこの水準を下回るかもしれないが、そう遠くないうちに株価は立ち直るだろう。その後、株価は新たなベースを確立しながら横ばいで推移するだろう。
キャッシュ・セキュアード・プット取引
日々の価格変動を気にせず、企業の長期的な可能性を信じる投資家は、現在の水準でNVAX株への投資を検討することができる。その場合、株価は122.06ドル(様々なモデルが提示する公正価値の推定値)に向かって推移すると予想される。
オプションの経験がある人は、NVAX株のキャッシュ・セキュアード・プット・オプションを売ることも考えられるが、これは私たちが定期的に紹介している投資戦略である。オプションを使用するため、この設定はすべての投資家に適しているわけではない。
このような強気の取引は、(プット・オプションの売りによる)プレミアムを受け取りたい人や、現在の市場価格である77.21ドルよりも安い価格で株式を保有したい人にとって、特に魅力的なものとなるだろう。
NVAX株式のプット・オプション契約は、100株を売却するオプションである。キャッシュ・セキュアードとは、株価が下落してオプションが権利行使された場合に証券を購入できるだけの資金を投資家が証券口座に保有していることを意味する。この準備金は、オプションのポジションが行使されるか、期限切れになるか、あるいは所有権が移転することを意味する譲渡が行われるまで、口座に残っていなければならない。
ある投資家がNovavax株を買いたいが、1株あたり77.21ドルの満額を払いたくないと仮定しよう。その代わりに、この投資家は今後数ヶ月以内に当株を割安で購入したいと考えている。
1つの可能性は、NVAX株がさらに下落するのを待つことだが、そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。もう一つの可能性は、キャッシュ・セキュアード・プット・オプションを1契約売ることである。
そのため、投資家は通常、アット・ザ・マネー(ATM)またはアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のプットオプションを組成し、同時に100株の株式を購入できるだけの現金を用意する。
この投資家が、オプションの有効期限である2022年4月14日までこの取引を行うと仮定しよう。この記事を書いている時点で株価は77.21ドルなので、OTMプット・オプションの権利行使価格は70ドルとなる。
つまり、オプションの買い手がオプションを行使して売り手に譲渡した場合、売り手は行使価格70ドルでNovavaxを100株購入しなければならない。
NVAXの2022年4月14日、権利行使価格70ドルのプット・オプションは、現在14.90ドルの価格(またはプレミアム)で提供されている。
オプションの買い手は、14.90ドル×100、つまり1490ドルのプレミアムをオプションの売り手に支払わなければならない。このプレミアム額は、将来何が起こっても、オプションの売り手に帰属する。プットオプションは、4月14日(金)に満期を迎える。
投資家がこのキャッシュ・セキュアード・プット・オプション取引を現在の77.10ドルでエントリーすると仮定すると、4月14日に満期を迎える場合、売り手の最大リターンは取引手数料やコストを除いて1,490ドルとなる。
売り手の最大の利益は、NVAXの株価が権利行使価格の70ドルを超えて終値を迎えた場合、このプレミアム額となる。そうなると、このオプションは無価値で失効する。
4 月 14 日の満期までに、このプット・オプションがイン・ザ・マネーになった場合(Novavax株の市場価格が行使価格の 70 ドルを下回った場合)、このプット・オプションの買い手は権利を行使することができる。この場合、売り手は、プット・オプションの行使価格70ドルで、NVAXの株式を100株購入する義務を負うことになる(すなわち、合計7,000ドル)。
この例の損益分岐点は、権利行使価格(70ドル)から受け取ったオプション・プレミアム(14.90ドル)を差し引いた金額、つまり55.10ドルである。この価格以下となれば売り手が損失を被ることになる。
キャッシュ・セキュアード・プット・オプションの売りは、現在の市場価格で企業の株式を買い取るよりも適度に保守的な戦略である。これは、今後数週間のNovavax株の変動を利用するための方法となる。
プットを売った結果、NVAXの株式を所有することになった投資家は、株式の潜在的なリターンを増やすためにカバード・コールの設定をさらに検討することもでる。このように、キャッシュ・セキュアード・プット・オプションの売りは、株式所有の第一歩ともいえるだろう。
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