この記事はInvesting.comの独占記事。
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天然資源の世界的なリーディング企業
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2020年3月以降、強気トレンドが継続
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調整局面を受けて高値圏で一時的に低下
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気候変動に関するイニシアティブがBHP株を下支え
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市場平均を上回る配当
産業用原材料は世界中のインフラを構成する要素だ。世界一の人口を誇る中国は、その経済成長を反映して、長年にわたって原材料市場の需要者としての役割を担ってきた。
一方、地殻に含まれる金属や鉱物、鉱石は世界が気候変動に対応する中で、新たな用途として期待されている。実際、Goldman Sachs は銅を「新しい石油」と呼び、銅なくして脱炭素化はありえないと声高に叫んでいる。アルミニウム、ニッケル、鉛、亜鉛、錫やその他の鉄金属や鉱石などロンドン金属取引所で取引されているその他の非鉄金属は、バッテリーやその他のクリーン・エネルギー構想に不可欠な原料となっている。
2021年に金属価格は高騰し、産業用金属の代表格である銅は過去最高値を更新する動きとなった。パンデミックに端を発した2020年初頭の安値以降、強気のトレンドが続いており、2022年以降も継続する可能性が高い。
BHP (NYSE:BHP) は世界有数の原料生産企業である。1月31日の株価は63.60ドルで、時価総額は約945億ドルとなっている。BHPの株価は2020年3月から上昇しているが、依然として2011年からの史上最高値を下回ったままである。産業用コモディティの需要増加とインフレ圧力により、2022年もBHP株は上昇する可能性があり、株価は1月31日比で64.5%以上高い2011年の最高値を試す展開となるかもしれない。
天然資源の世界的なリーディング企業
BHPグループは、オーストラリアのメルボルンに本社を置き、世界各地で鉱山開発に携わっているグローバルな資源企業だ。同社は鉄鉱石、冶金用石炭、銅、ウランの主要生産者でもある。事業で扱う原材料には、石油、銅、鉄鉱石、石炭が含まれる。同社のウェブサイトに記載されている他の多くのコモディティも生産している。
1月31日現在、世界の主要な上場総合原料生産企業は以下の通りだ。
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時価総額945億ドルのBHP
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時価総額912.5億ドルのRio Tinto (NYSE:RIO)
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時価総額799億ドルのVale (NYSE:VALE)
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時価総額529.2億ドルのFreeport-McMoran Copper & Gold (NYSE:FCX)
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時価総額694.4億ドルのGlencore (OTC:GLNCY)
BHPは、2020年初頭の低迷している原材料市場において、世界をリードしている。
2020年3月以降、強気トレンドが継続
原材料価格は2020年3月以降、爆発的に高騰している。BHPが生産するコモディティのほとんどが、数年ぶり、あるいは史上最高値まで上昇している。BHPの株価の上昇は、これらのコモディティの堅調な推移による恩恵を受けていることを反映している。
出所:Barchart
上のグラフは、世界的なパンデミックがすべての資産クラスの市場を襲い、低下圧力がかかった2020年3月に、同社の株価が記録した29.78ドルの低値から、BHP株が如何に堅調に上昇しているのかを示している。直近の高値は、銅が史上最高値を記録した2021年5月である。BHPの株価は82.07ドルで取引され、2020年の安値から175%以上上昇している。1月31日の1株当たり63.60ドルでみても、2020年3月の株価の2倍以上の水準である。
調整局面を受けて高値圏で一時的に低下
BHPの株価は2021年5月の高値からは調整されているが、強気トレンドは続いている。
出所:Barchart
上のチャートは、2021年5月の82.07ドルから2021年11月中旬の51.88ドルの安値まで下落した局面を示している。しかしBHP株は2020年10月下旬の安値46.90ドルを試す展開にはならなかったため、安値更新のパターンは維持されたままである。現在、テクニカル・サポート・レベルは、2021年11月の安値である51.88ドルだ。
気候変動に関するイニシアティブがBHP株を下支え
Goldman Sachsのアナリストは銅に対して強気の見方を崩しておらず、LME3ヶ月フォワード価格は2025年までに1トン当たり15,000ドルまで上昇すると予想している。LME3ヶ月フォワードは1月28日に1トンあたり9916.50ドルで取引されており、この予想が正しければ銅市場は50%以上上昇する可能性があることを意味している。Goldman Sachsが銅に強気なのは、「銅なくして脱炭素はありえない 」と考えているからだ。BHPが生産するニッケルやその他多くの電池用金属も同様だ。
一方、銅をはじめとする鉱山金属の新規生産の開始には8〜10年かかるため、今後数年間は需要増に伴いこれらの市場が需要過多になることが予想される。Goldman Sachsは、この需要過多が今後も銅や原材料の価格を押し上げ、インフレの進行が生産コストを押し上げ、この傾向をさらに悪化させると予想している。
BHPは、気候変動への対応を容易にするコモディティを生産しているだけでなく、事業活動における温室効果ガス排出量の削減目標も掲げており、2050年までに排出量を完全にゼロにすることを目標としている。世界が気候変動に取り組む中、BHPは今後数年にわたり利益を得るための絶好のポジションにいると期待できるかもしれない。
市場平均を上回る配当
コモディティ価格の上昇により、BHPの売上と収益は大きく伸びている。
出所:Yahoo Finance
上のチャートでは、2018年から2021年までの売上増を確認することができる。同社は目覚ましい利益を上げ、配当を押し上げている。BHPの年間配当は1株当たり8ドル、63.60ドルで12.6%となっている。市場よりもはるかに高い配当利回りを有しており、同社の売上と利益の上昇を背景に、株価が高値圏に上昇するのを待つ間、株主は高配当の恩恵を受けることができる。
BHP株の史上最高値は2011年の104.59ドルで、1月31日の価格から65%近くも高い水準だ。 Goldman Sachsが正しければ、BHP株は強気トレンドを継続し、今後数年間で2011年の高値を試す展開となるかもしれない。
BHPはポートフォリオの中核的なポジションとするべき原材料生産会社といえる。同社は現在のインフレ環境下で引き続き成長するとみられ、気候変動への対処は同社の株価上昇の根拠を強めるものとなる。