大型株の決算発表の大半はすでに終了しているが、今週はインフレ圧力と長引くサプライ・チェーンの混乱の中で、小売業者の決算内容と今年下半期の見通しに注目が集まるだろう。
投資家はまた、進行中の労働者不足に関する最新情報と、これらが小売売上と物価に与える影響に注目することになる。米国の4月の消費者物価は予想を上回る上昇となり、インフレがより長く高止まりする可能性が示された。インフレ率は40年来の高水準で推移しており、連邦準備制度理事会(FRB)は積極的な利上げの道を歩み続けるかもしれない。
経済環境の悪化を受け、S&P500は先週、金曜日の取引終了時に上昇したものの、6週連続で下落し、2011年6月以来最も長い下落を記録している。
以下では、週明けの四半期決算発表後に売買が加速する可能性のある3銘柄をご紹介する。
1. Walmart
アメリカ最大の小売業者、ウォルマート(NYSE:WMT)は、5月17日(火)の市場取引開始前に2023年度第1四半期の決算を発表する。コンセンサスでは、売上高1388億3000万ドルで、1株あたり利益(EPS)1.47ドルと予想されている。
ウォルマートは、市場の四半期利益予想を上回り、2月には2022年第1四半期の見通しは明るいとして、インフレ率の上昇とサプライ・チェーンの混乱への対処に自信をみせた。株価は金曜日の終値で148.05ドル、今年に入ってから2%以上上昇している。
米国における同社の既存店売上高は、今年度中に、燃料を除いて「3%をわずかに上回る水準」に増加すると、2月に発表した。
米国の小売企業は、輸送能力の不足、賃金の上昇、燃料費の上昇に悩まされている。しかし、インフレ率の上昇は、低価格を求めるあらゆる所得層の顧客を増やすことにつながるため、実際にはウォルマートにとってプラスとなる可能性がある。
2. Home Depot
ホームセンター大手のホーム・デポ(NYSE:HD)も、火曜日の市場取引開始前に第1四半期の決算を発表する。アナリストは、売上高365億7000万ドルで、EPS3.68ドルを見込んでいる。
同社は年末まで売上は堅調に推移したものの、顧客取引の減少とコスト増の兆候が明らかになっている。これらの逆風は、収益性の指標として注目される売上総利益率に打撃を与え始めている。株価は、今年に入ってから28%下落し、金曜日の終値は296.03ドルであった。
2022年までのロードマップを投資家に提示する一方で、HDは2月に、1月30日に終わった前年度に既存店売上高が11%増加し、今年は「わずかにプラス」になるだろうとの見込みを発表した。また、一部の項目を除いたEPSは、昨年の30%増のあと、1桁台前半の増加になると予測している。
3. Cisco Systems
シスコシステムズ(NASDAQ:CSCO)は、5月18日(水)の市場取引終了後に2022年度、第3四半期の業績を発表する。アナリストのコンセンサス予想は、売上高133億4000万ドル、EPS0.86ドルである。
最高経営責任者(CEO)のChuck Robbins氏指揮の下、このシリコン・バレーの雄は、ソフトウェア販売だけでなく、インターネット上で配信されるネットワーク・サービスのプロバイダーへと変貌を遂げつつある。同社は昨年9月にアナリストに対して、2025年度までにサブスクリプションからの収益が同社の総収益の50%に達するだろうと語った。株価は先週金曜日の終値で49.56ドル、今年に入ってから20%ほど下落している。
Robbins氏は2月に投資家に対して、インフラをアップグレードしようとしている企業によって、同社は事業全体で機器に対する旺盛な需要が発生していると語った。
同社は、部品不足のために満たすことができない注文が多い。この問題は経済全体の産業を苦しめている。
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