-
ウォルマートとターゲットの収益は、セクターの低迷、さらには市場全体の下落の先行指標
-
利回りは低下したが、依然として株式市場の重荷
-
ドルも調整する可能性
-
ビットコインのさらなる低迷の危機
先週は{{erl-8180||Target}(NYSE:TGT)やWalmart} などの大手小売業者にて市場予想を大きく下回る業績低迷が確認されたことで、「小売りセクターの低迷」が引き起こされた。投資家は、今週発表される注目度の高い多数の企業決算を神経質に待っている。その中には、Costco(NASDAQ:COST、ベストバイ(NYSE:BBY)、ノードストローム(NYSE:JWN)、メイシーズ(NYSE:M)、ダラーツリー(NASDAQ: DLTR)、Ulta Beauty (NASDAQ:ULTA)、 Dick's Sporting Goods (NYSE:DKS およびDollar General (NYSE:DG)などが含まれる。
先週水曜日、ターゲットが予想を大幅に下回る決算を発表したあと、株価は急落し当日中に約25%、木曜日の朝にはさらに3.2%下落して、その後反転した。一方、火曜日に決算を発表したウォルマートは、木曜日までに約19%低下したあと、金曜日に上昇に転じた。これは1987年以来、小売業にとって最大の暴落であり、一部の関係者が期待したようなインフレの高まりの中で企業が利益を伸ばすことができないことを示すものであった。
米国における4月の小売売上高が0.9%増とレジリエンスを示した後、巨大小売企業の決算内容は二重に衝撃的だった。消費者支出が増加したのに、なぜ小売大手の決算は低迷したのだろうか。データは誤解を招くものであり、インフレ調整されていないことが判明した。真のデータは、2ヶ月連続でマイナスであったことがわかった。
Amazon (NASDAQ:AMZN)も、Target や Walmart と同じような経済的リスクに直面していることを投資家が認識し、急落した。しかし小売業界の低迷はこれだけでは終わらなかった。他の大手小売企業も、Target の発表後、10%以上値下がりし、これらの企業の多くが S&P 500 Indexを下回るパフォーマンスとなった。
メイシーズは10.7%下落、ベストバイは10.8%下落し、いずれも価格が200週移動平均を割り込んだ。
ベスト・バイは、非対称の右ショルダーをサポートする強気筋の力が弱すぎる場合に発生する、下降傾斜のヘッド・アンド・ショルダー(H&S)のトップを完成させた。
先週のウォルマートとターゲットの業績不振と、今週の小売企業の決算との関連は明らかで、トレーダーを不安にさせているが、今回の業績不振は、他のセグメントやセクターでも変化が起こる可能性を示す先行指標となる可能性がある。
スーパーマーケットや消費財メーカーは、物価上昇により理論上売上高が増加するためインフレの恩恵を受ける可能性があり、銀行は金利上昇により利益幅が拡大する。もちろん、小売業はインフレの中で必要以上の値上げをする可能性もある。
しかし、ウォルマートの決算は、インフレの悪い面を浮き彫りにしている。コスト意識の高いことで知られる同社が、インフレによって利益を圧迫されているとすれば、市場はより質素な競合企業、ましてや伝統的にインフレの恩恵を受けないセクターの業績がさらに悪化すると考えるべきではないだろうか。
実際、小売業が苦境に立たされている場合、テクノロジー企業はどのように対処するだろうか。テクノロジー業界は、グロース株の上昇圧力が最大限に高まった後、市場の暴落の矢面に立たされる傾向がある。先週は、アップル (NASDAQ:AAPL) の6.4%減とテスラ (NASDAQ:TSLA)の13.7%減に引きずられ、ハイテク株の多い NASDAQは 4.75%減と主要平均の中ではアンダーパフォームした。
S&P500指数は3%の値下がり、ブルーチップ・バリュー株を中心にリストアップした30構成銘柄のDow Jonesは2.9%後退し、インフレ圧力による反落の中でアウトパフォームした。先週のサプライズは小型株のラッセル2000で、FRBがこの半年でタカ派に転じて以来、テクノロジー株同様低下していたが、わずか1.1%の下落にとどまる。
しかし、ハイテク株を支持する証拠もある。
NASDAQ 100は、前週の週次ハンマーがサポートとなり、下降傾斜するH&Sトップを再びテストするための戻り歩調の可能性を示唆している。
しかし、ラッセル2000は、ベア・マーケット・ラリーの可能性がさらに高そうだ。
先週の取引は高波動ローソク足を形成し、その前の週次での強気ハンマーによって反転の可能性を高めた。週次では2週続落となったが、週足200日移動平均線を上回って引けた。したがって、小型株のベンチマークが200日移動平均線を再びハンマーで叩く前に、下落チャネルの上部を試しても驚かないだろう。
米国10年債利回りは2週連続で低下した。長期金利が2週連続で低下するのは、11月以来初めてのことだ。
利回りは小さな上方傾斜のH&Sトップを形成し、50日移動平均線(50DMA)がサポートとなった。逆に50日荷重移動平均線(50WMA)が200WMAを上回り、週次チャートではゴールデン・クロスを誘発した。
2022年初頭、株式は金利上昇により過去最高値から下落したが、現在は利回りの低下が株価を低迷させている。
この矛盾は、債券投資家のモチベーションを理解することで説明できる。年初は、金利上昇により現在のクーポンでは満足できず、利上げ観測が株価を押し上げていた。しかし、現在、投資家は景気後退を前にして安全性を求め、また株式ポジションの下落を避けるために債券に資金を移しており、利回りは低下している。
さらに、債券は過去40年以上で最悪の四半期となった(ちなみに、過去40年ぶりなのは足元の高位なインフレ率もある)。債券市場は1842年以来最悪の12ヶ月間であり、債券投資家に押し目買いを行う素晴らしい理由を提供したと主張する人もいる。投資家が株式から資金を引き揚げて債券に投資すると、供給が増え、需要が減る。
米ドルは、米国10年債利回りに合わせて小さなH&Sを形成する可能性があり、週明けから下落した。
米ドルのMACD、RSI、ROCはすべてH&Sが完成することを示唆している。ただし、ダウンサイド・ブレイクアウトしてからでないとわからない。この価格水準でのブレイクアウトは、2020年の高値圏にあるため、必須となるだろう。これは上昇トレンドにおける調整となるだろう。
一方、金は今週は上昇し、前週の損失の半分を回復した。
金の反発は、2021年3月以来の上昇トレンドラインに近づいた後であった。
ビットコインは7週連続で下落し、過去最長の連続トレンドとなっている。
暗号資産は、先行する急落の後、弱気なペナントを展開している。下方にブレイクアウトすると、大規模なダブルトップを固め、これ以上の水準となる10,000ドルを目指す動きとなるだろう。
このような状況下において、原油は、ロシア産原油の禁輸措置が継続されていることから、景気後退懸念や原油の需給に関する不透明感があるにもかかわらず、4週にわたって上昇した。
WTIはアキュムレーション・エリアを終えようとしている可能性があり、今後上昇するシグナルを発している。
今週の予定
時間はすべて米国東部時間で記載
月曜日
4:00: ドイツ – IFO企業景況感指数: 前回の91.8から91.4への低下を予想
12:15: 英国 – 英中銀ベイリー総裁、発言
火曜日
3:30: ドイツ – 製造業PMI:54.6から54.0への低下を予想
4:30: 英国 – 製造業PMI:前回の結果は55.8
10:00: 米国 – 新規住宅販売件数: 763千件から750千件への低下を予想
12:20: 米国 – FRBのパウエル議長、発言
14:00: ユーロ圏 – 欧州中央銀行ラガルド総裁、発言
22:00: ニュージーランド – ニュージーランド準備銀行 政策金利決定:50bps引き上げて2.00%とする予想
水曜日
2:00: ドイツ – GDP: 前四半期対比0.2%で横ばいを予想.
8:30: 米国 – コア耐久財受注: 1.2%から0.6%への低下を予想
10:30: 米国 – 原油在庫量: -3.39Mから1.383Mへの増加を予想
14:00: 米国 – FOMC議事要旨
木曜日
8:30: 米国 – GDP: -1.4%で横ばいを予想
8:30: 米国 – 新規失業保険申請件数: 218千件から213千件への低下を予想
8:30: カナダ – コア小売売上高: 2.1%から2.0%への低下を予想
21:30: 豪州 – 小売売上高: 1.6%から1.0%への低下を予想
金曜日
8:30: 米国 – コア個人消費支出: 前年同月比5.2%から4月は4.9%に低下を予想