6月1日に開催された銀行会議で、JPMorgan ChaseのCEOであるジェイミー・ダイモン氏が、米国経済について次のように発言した。
「ハリケーンのようだ。」
「今は晴れやかで、物事はうまくいっており、誰もがFRBが何とかしてくれると考えている。しかし、ハリケーンはすぐそこにあり、我々の方にやってくる。ただ、それが小さなものなのか、スーパー・ストームのサンディ級なのかはわからない。」
そして、「気を引き締めたほうがいい」と付け加えた。
先週もCitigroupのCEOであるJane Fraser氏が述べた後にGoldman SachsのCOOである John Waldron氏や TeslaのCEOElon Musk氏が同様の警告を発している。
「今、3つの "R"に気をつけるべきだ。ロシア、不景気(Recession)、金利(Rate)である。」
このような市場心理の悪化により、 S&P 500指数は6月に入ってから0.5%以上下落し、幅広いベンチマークの下落率は年初来で13.5%に達している。銀行やクレジットカード発行会社などの金融株は、5月末から大きく値を崩している。例えば、 Citigroup (NYSE:C)は約3.9%、Wells Fargo (NYSE:WFC)は2.1%、American Express (NYSE:AXP)は1.2%の下落だ。
とはいえ、経済や多くの銘柄の次の動きを予測するのは容易ではない。ダイモン氏によれば、銀行のバランス・シートは保守的な位置づけになるという。それでも同氏は、健全な労働市場のおかげもあり、米国の消費者は依然として強いと信じている。
そこで本日は、ポートフォリオ構築において、よりディフェンシブな手段を講じる上でも有効な2つの上場投資信託(ETF)を紹介しよう。これらのETFは、特にパッシブ・インカムを重視する読者にとって魅力的なものだろう。
1. SPDR SSGA Multi-Asset Real Return ETF
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現在の価格: 31.79ドル
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過去52週間のレンジ:26.80ドル~32.34ドル
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配当利回り:10.48%
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経費率:年率0.50%
マルチ・アセット型ETFは、特定のベンチマークのパフォーマンスに連動する、より伝統的な株式ETFとは異なるものである。多くのマルチ・アセット型ETFは、株式、債券、コモディティ、不動産など、さまざまな資産クラスに投資している。
第一に紹介するSPDR® SSGA Multi-Asset Real Return ETF (NYSE:RLY)は、他のETFに投資して、現在のインカム収入を得ながら、ある程度の値上がりを達成するものである。このアクティブ運用ETFは、2012年4月に取引を開始した。
資産配分では、天然資源(34.5%)、グローバル・インフラ(23.1%)、コモディティ(24.9%)、不動産(7.7%)が挙げられる。RLYは他に11のETFを保有しており、そのうち3つのETFで純資産額4億4300万ドルの約4分の3を占めている。上位の保有ETFは以下の通り。
SPDR® S&P Global Natural Resources ETF (NYSE:GNR)—年初来上昇15.5%
Invesco Optimum Yield Diversified Commodity Strategy No K-1 ETF (NASDAQ:PDBC)—年初来上昇43.9%
SPDR® S&P Global Infrastructure ETF (NYSE:GII)—年初来上昇6.9%
SPDR Bloomberg 1-10 Year TIPS ETF (NYSE:TIPX)—年初来下落5.4%
SPDR® Dow Jones REIT ETF (NYSE:RWR)—年初来下落15.7%
RLYは4月21日に過去最高値を更新し、1月以降のリターンは17.7%に達している。アクティブ運用だけでなく、採用されているクオンツ・モデルの組み合わせが、より多くのリターンをもたらすと期待する読者は、RLYは魅力的かもしれない。
2. Tortoise North American Pipeline Fund
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現在の価格: 28.01ドル
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過去52週間のレンジ: 20.77ドル~28.10ドル
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配当利回り:3.98%
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経費率:年率0.40%
次は、パッシブ運用の Tortoise North American Pipeline Fund (NYSE:TPYP)で、主に北米のエネルギー・パイプライン分野のスペースに幅広くエクスポージャーを提供するETFである。2015年6月に取引を開始した。
TPYPは52銘柄を保有しており、そのうち主要10銘柄は純資産5億9,600万ドルの約60%を占めている。これらのパイプライン銘柄は、会社、有限責任会社(LLC)、Master Limited Partnerships (MLPs)として構成されている場合があり、定期的にこの話題を取り上げている。
このETFのポートフォリオの半分以上は、天然ガスパイプライン・セクターからきている。次いで、地方ガス配給会社(19%)、原油パイプライン(15%)、収集・加工(8%)、精製品パイプライン(5%)の順となっている。
The Williams Companies (NYSE:WMB)、Enbridge (NYSE:ENB)、TC Energy (NYSE:TRP)、Kinder Morgan (NYSE:KMI)、Enterprise Products Partners (NYSE:EPD)、Cheniere Energy (NYSE:LNG) など有力エネルギー銘柄が名を連ねている。
最近、史上最高値を挙げたTPYPは、年初来26%上昇している。広範なエネルギー分野で継続的な強さがみられる投資家は、このETFをさらに詳しく調べてみる必要があるだろう。