概観
ついにやった!為替市場はついに、USD/JPYにおいて100円の大台を突破した。失業保険申請件数がまたもや予想よりも良かったことを受けてUSDの上昇は始まったが、その後の上昇のきっかけとなったものが正確に何であったかを特定することは難しく、何か特定のイベントや声明によって引き起こされた動きというよりも、群集心理的な動きであると考えられる。USDに対する積極的な雰囲気を作ったのは、量的緩和の終焉の始まりが間近に迫っている可能性があることを示唆したFRB高官による発言であった。フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁(トンプソン/ロイターの、ハト派かタカ派かを判定する評価において5点中の5を獲得)のように注目すべきタカ派が常にタカ派的色彩が強いことは言うまでもないが、重要な点はハト派的なシカゴ連銀のエヴァンス総裁(同判定基準において正反対に位置する1に格付けされている)が心変わりしたかどうかという点であった。彼は「労働市場は完全に改善している」と述べたが、この改善が夏の間、持続するかどうかを見極めたいとしていた。別の見方をすれば、たとえ彼がもう3~4ヵ月間、非農業部門雇用者数が最近の水準に留まることを確認したいと考えていたとしても、FRBは量的緩和を後退させ始める可能性があるということである。
USDにおいて最大の上げ幅を記録したのは対JPYであったが、USDは我々が追跡している全ての通貨に対して上昇し、水曜日の動きとは反対のものとなった。その他の多くの中央銀行(たとえば、韓国、ベトナム、スリランカは昨晩利下げを実施した)が金融緩和を実施しており、忘れてはならないのは、日本は金融緩和が緒に就いたばかりであり、向こう2年間については、FRBがこの4年間で実施したよりもさらに大幅な金融緩和を実施する計画があるという点である。金融緩和を鈍化されている世界中のその他の中央銀行が、景気底上げのために、インフレ率の低下によって提供された機会を利用し続けるなか、米国は最終的に刺激策から撤退すると市場が予想しているとおり、結果的に、USDは上昇傾向を示すと予想される。
本日の焦点は、FRBにおける圧倒的な決定者であり、緩やかなハト派(a2に格付け)であるバーナンキ議長による発言であろう。カンザスシティー連銀のジョージ総裁は、もう一人のタカ派的FRBメンバーであるが(5点中4点に格付け)、同総裁は、ジャクソンホールにおいて、経済に関する発言を行う予定で、エバンス氏ももう一度スピーチを行う予定である。G7財務相・中央銀行総裁会議が、本日夕刻ロンドンにおいて開催される予定で、米国は、今のところ、成長率の拡大と景気収縮度合の低下が適切であろうと、欧州に対して主張すると予想される。ドイツのジョイブレ財務相は、そのことを察し始めており、彼は昨日、EU政府が、リセッションに対抗するために「対策を講じる余地は十分にある」と語った。
マーケット
EUR/USD
• 昨日、米国の新規失業保険申請件数が2008年1月以来の低水準となり、2008年4月以来、最低水準が続いているとの発表を受け、EUR/USDはスパイク・トレンドライン・サポートを見出した。米国の労働市場の改善を示す数値とFRBによる見解が引き金となり、同ペアはさらに低下し、1.3010の50日移動平均とパラボリックSARストップ・ロスでサポートを見出した。この日の最初のレジスタンスは、十分に試された1.3055 – 1.3075領域に現れるとみられ、レジスタンスに転じたスパイク・トレンドライン・サポートは1.3093に現れるだろう。強力なサポートが、200日移動平均と2月~3月の低下の23.6%リトレースメント水準である1.2985前後に現れるだろう。次のトレンドライン・サポートは、1.2935に現れる可能性があり、より高いレジスタンスは上述の下落の38.2%リトレースメント水準である1.3120に現れるだろう。
USD/JPY
• 昨日USD/JPYは、100円の大台を突破したため、主な勝者となった。米国の失業保険申請件数が発表された後、最初のレジスタンスは99.35に現れ、RSIとストキャスティクスが買われ過ぎの水準にあるにも拘わらず、その後のブレイクアウトのきっかけとなった。レジスタンスは99.85に現れたが短命に終わり、同ペアは100.75を付け、その後、日本のデータ発表によって、日本の投資家が直近2週間では外債のネットバイヤーとなっていることが明らかとなり、101.20の高値に達した。強力なレジスタンスは101.50-101.65領域に現れる可能性が高い。ちなみにこの領域は、1995年~2007年の12年間で2回、最終的なサポートとして機能したことのある5年ぶりの高水準である。
AUD/USD
• 米国の失業保険申請件数を受けて、AUD/USDは昨日低下し、1.0185でサポートを見出した。その後、この10ヶ月間で5回試されたことのある1.0150の重要なサポート水準を突破し、下方突破の引き金となって、同ペアは、2012年下半期のラリーの61.8%リトレースメント水準である1.0050でサポートを見出した。このサポート水準を突破すれば、同ペアは、2009年3月~2011年4月の23.6%リトレースメント水準である0.9900に向かう可能性が高く、次のサポートは、1年半ぶりの安値である0.9700で見出されるだろう。1.0150と1.020は、現在、レジスタンス水準として機能する可能性が高い。
金
• 米国の失業保険申請件数が好調であったことと、FRBによる量的緩和からの撤退に対する展望がUSDを押し上げたため、昨日、金はその輝きの一部を喪失し、金融危機後のラリーの38.2%リトレースメント水準である1450ドルでトレンドライン・サポートと注目すべきフィボナッチ・サポートを見出した。1450ドルを突破すれば、価格は1423ドル~1431ドル領域に向かって動くとみられ、その後、強力なサポートは1400ドルに現れるだろう。強力なレジスタンスは依然として1476ドルで見出されるとみられ、スパイク・レジスタンスは1485ドルで見出されるだろう。
原油
• WITは、96.60~96.75ドル領域にあるレジスタンスから戻し、米国の労働市場と景気の回復を受けて、フィボナッチ・サポートとトレンドライン・サポートを96.60ドルで見出し、この水準から反発した。その後、95.35ドルにあるサポートを若干突破したが、コモディティーが回復したため、ブレイクダウンは生じず、1時間チャート上の売られ過ぎの水準近くでハンマー・キャンドルスティックを形成し、96.45ドルまで反発した後、再びトレンドライン・サポートとフィボナッチ・サポートを試す展開となった。この注目すべき領域を上回るレジスタンスは、これまで4回試されてきた8ヵ月間にわたる右肩下がりのトレンドラインである97.25ドルに現れる可能性があり、次のレジスタンスは2013年の高値である98.60ドルに現れる可能性がある。十分に試された95.60ドルを下回るさらに低いサポートは、94.50ドルで見出されるだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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