テクニカル材料に注目:
USDが主要な通貨に対して重要なサポート水準とレジスタンス水準を突破したことに加え、予定されている経済的なイベントが乏しいことを背景に、焦点は再びテクニカル面へとシフトしている。金曜日には、ミシガン大学消費者信頼感指数が2007年7月以来最高の数値を記録し、コンファレンス・ボード先行指標が予想を大幅に上回ったことで、USDは全面高となり、ドル指数(DXY)は重要なレジスタンスを突破し、ほぼ3年ぶりの高値で終わった。5月14日に終わった週に関するトレーダーズ協会の直近のレポートは、EUR、JPY、CHF、AUDにおけるショート契約が大幅に増加し、EUR、JPY、CHFだけでDXYの75%を占めたことを示している。米国株も1%近く上昇し、NYSEのマクレラン・オシレーターは反発した後、弱気な領域に突入した。
コモディティー通貨は、この週、対USDで最悪のパフォーマンスを示した通貨となった。AUD、NZD、南アフリカランドは3%下落し、AUD/USDとNZD/USDが、重要なトレンドライン・サポートを下方突破する一方、USD/ZARは2年越しの右肩上がりのサポート・トレンドラインから反発した。対USDでは、EURの下落幅が、7通貨中最も少なく、EURが2002年に流通して以来、歴史的な移動平均である1.2800でサポートを見出した。しかし、50日移動平均と200日移動平均の間の「デスクロス」が金曜日に完成したことから、歴史的に見て、EUR/USDは今後一層低下すると考えられ、ヘッド・アンド・ショルダーズ・フォーメーションがこの弱気見通しに拍車を掛けている。EUR導入以来行ってきた我々の過去のデータ検証試験によれば、このショートは、45日以内に平均5.57%(中央値の場合は47日以内に4.35%)のリターンををもたらしており、5回中1回だけが、同期間内に1%以上のEUR/USDの上昇を招いている。EUR/USDのデスクロスの重要性を論理的に認識するために例を挙げれば、50日移動平均が200日移動平均を上回る「ゴールデンクロス」では、6例中5例(83%)で1%以上予想と反対方向に動いている。しかし、より重要なのは、2012年9月から始まったヘッド・アンド・ショルダーズ・フォーメーションであり、これらのフォーメーションは、統計的な重要性を示してきたことから、圧倒的なターゲットにも拘わらず、むしろ信頼できると考えられるためである。現在のフォーメーションによって設定される価格ターゲットは、1.20を下回っているが、1.21がより現実味のあるターゲットである。リバーサル水準でもある試されたトレンドライン・サポートは、過去のデスクロスに基づくターゲットであり、ヘッド・アンド・ショルダーズの約半分がそれらの大きなターゲットに合致しており、少なくとも5%の動きで94%が達成されることを考えれば、より保守的なターゲットであると言えよう。ヘッド・アンド・ショルダーズのトップは、いったん突破すれば、その3分の2は、ネックラインを試すと言われているため、忍耐が求められる。
本日、EUから発表される唯一のデータは、イタリアの工業受注および売上高であり、これに対する利用可能な予想は存在しない。米国では、シカゴ連銀による全米活動調査が発表される予定で、これに対する予想は発表されていない。火曜日には、英国の物価データの発表が控えており、水曜日には、金融政策が焦点となるだろう。この日、日銀会議が開催され、FOMCおよびイングランド銀行が前回の会議の議事録を発表し、バーナンキ議長が議会証言を行う予定で、市場は、彼が量的緩和の後退を示唆するかどうかに注目している。木曜日には、PMIが発表される予定で、米国、中国、フランス、ドイツ、ユーロ全域では、すべてのPMI速報値が改善すると予想される。週末には、米国の耐久財受注指数、ドイツの消費者信頼感指数、企業景況感が発表される。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、金曜日のセッション中、最も長時間にわたって、終値に基づくヘッド・アンド・ショルダーズ・フォーメーションのネックラインである1.2855においてサポートを見出していたが、テクニカルな動きでこの水準を下方突破した。トレンドライン・サポートが1.2795に現れ、米国の消費者信頼感指数が好調だったとの発表を受けて、意外にも30pipの反発が生じた。そのすぐ後に、コンファレンス・ボード先行指標が予想よりも好調だったことが発表され、この反発は若干調整されたが、安値が再び試されることはなかった。しかし、レジスタンスが1.2840に現れた。サポートは、1.2795 – 1.2770の領域に現れる可能性が高く、後者の数値は、スパイクに基づくヘッド・アンド・ショルダーズ・ネックラインである。この領域を下方突破すれば、2013年に見られた1.2750の安値を突破する可能性が高く、より強力なサポートは、少なくとも最初は6ヵ月ぶりの安値であり、7月~2月のラリーの61.8%リトレースメント水準でもある1.2680に現れるだろう。レジスタンスは、1.2860に現れる可能性が高く、この水準を突破すれば、レジスタンスは1.2905に現れるだろう。
USD/JPY
• USD/JPYは、午前中に102.30でサポートを見出し、米国のデータが予想よりも良かったことを受けて、102.70のレジスタンスを突破し、その後、これらの上昇を維持し、足場を固めた。しかし、今週、同ペアは、日曜日の日本の財務相による「JPYが大幅に下落し続ければ、国民の生活にマイナスの影響もあり得る」との発言を受けて、102.70の下方ギャップで幕を開けた。当初のサポートは、101.95に現れ、その後サポートは101.35に現れる。103.30の高値は、再びレジスタンスとして機能する可能性が高く、次のレジスタンスは103.90に現れるだろう。しかし、もし下げて終われば、RSIとストキャスティクスが買われ過ぎの水準にあり、いずれのモメンタム指標も、弱気のクロスオーバーを形成する可能性が高いという点には留意すべきだろう。
USD/CAD
• カナダのCPIが低下し、予想よりも悪い結果となったにも拘わらず、同ペアに影響を与えることはなかったが、米国のデータが予想よりも良かったことから、USD/CADは1.0240を突破し、2010年2月以来形成されてきたパターン・レジスタンスに近付いた。このパターンから過去に乱高下が生じていることから、慎重さが求められる。金曜日に最大の動きを示したUSD/CADに対するサポートは、2009年3月~2011年7月の大幅な下落の23.6%リトレースメント水準である1.0275に現れ、レジスタンスは約1年ぶりの高値である1.0310に現れるだろう。トレンドライン・サポートは、1.0240に見られ、次のレジスタンスは1.0340に見られるだろう。
金
• 金の下落は究極の状態に達しており、7日連続の下落で、先週は6%以上下落した。USDに対してプラス材料となる米国のデータが発表されたことで、1370ドルのサポートを下方突破し、本日、金は1350ドルのサポートを下方突破するだろう。現在、強力なサポートが最近の安値である1322ドル~1330ドルに、また、注目すべきフィボナッチ水準が1285~1300ドル領域に存在する。レジスタンスは、1350ドルと1370ドルに現れる可能性が高い。
WTI
• WTIは金曜日、主たる勝者となり、ドライビング・シーズンによる需要拡大期待から、ラリーを継続し、96.45ドルのレジスタンスまでスパイクし、その後、USDが米国の明るいニュースを受けて上昇したため、戻した後、午後遅くの反発では96.20ドルでレジスタンスを見出した。強力なトレンドライン・レジスタンスが97.30ドルに現れ、トレンドライン・サポートは95.50ドルに現れ、次のサポート水準は、94.50ドルと、50日移動平均である93.50ドルに、また、200日移動平均である92.35ドルに現れるだろう。WTIが上げて終われば、強気のRSI-MAクロスオーバーを形成するとみられるが、トレーダーは、ストキャスティクス・オシレーターが、買われ過ぎの領域にあることにも留意すべきである。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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