欧州では静かな1日だが、FRBのバーナンキ議長が話し始めてからは、ボラティリティーが高くなった。彼の公式な発言は、皆が予想していた通り、ハト派的なものであったため、USDは下落し始めたが、USD買いへの意欲も見られ、下落は短命に終わった。そして、質疑応答の時間には、もしデータが許すならば、FRBが向こう数ヵ月間で実際に量的緩和を後退させる可能性があると示唆したため、混乱が生じた。10年物米国債の利回りは急騰し(前日比10bpの上昇)、株価は下落し、そして当然のことながら、USDもすぐに回復した。直近の雇用統計前に行われた直近のFOMC会議の議事録は、若干古いものとなりつつあるため、これに対する興味はそれほど見られなかった。政策立案者は、第2四半期の景気が著しく改善すれば、量的緩和を後退させるかどうかという問題について議論したが、景気がまだそのような改善の兆候を見せていないため、その議論は若干アカデミックなものに終わった。
すなわち、バーナンキ議長の発言とFOMCの議事録の趣旨は、その他の中央銀行が議論している内容とは全く異なるものであったということだ。世界のその他の大半の国々の中央銀行が直面している問題は、インフレ率がターゲットを下回っており、通貨が強すぎるというものであり、そうした国々の中央銀行は、緩和策に対して中立姿勢をとっている。FRBは、金融引締めさえも検討している数少ない中央銀行のひとつである。私の見解では、この政策の違いから、USDは今後も支持されると考えられる。
本日は、購買部担当者指数が焦点となるだろう。製造業、サービス業、Markit総合PMI指数の5月の速報値が、EU、ドイツ、フランスから発表される。後に、米国のMarkit PMI指数が発表される(ISM指数ではない)。前月比での上昇が、ユーロ圏全域で予想されるが、50を上回る水準にまで戻るのは、ドイツのサービス業PMIのみであると予想される。これとは対照的に、米国の指数は、低下すると予想されるが、依然として50を上回る水準を示すだろう。昨晩のUSDの変動の大きさを考えれば、欧州の指標における改善は、EUR/USDの回復をもたらす可能性があるが、バーナンキ議長によるハト派的な発言の後でさえ、昨日はUSDに対する需要が強かったことを考えれば、USDがすぐに大幅に低下するとは考えられない。また、ECBのドラギ総裁は、今夕、「世界経済における欧州の未来」に関して話し、彼の審議会のメンバーのうち5人が、一日を通してスピーチを行う。我々は、これらのスピーチを通じて、ECBの政策に関して相反する助言を受け取ることになり、ボラティリティーは高まるだろう。
マーケット
EUR/USD
• 昨日、EUR/USDは、1.2980~1.3000でレジスタンスを見出した後、下落した。結局、1.2900の心理的水準と1.2855のトレンドライン・サポートのいずれをも突破した。現在、次のサポートは1.2800に存在する。より強力なサポートは、11月の上昇トレンドライン・サポートとボトム・ボリンジャー・バンド水準が存在する1.2780近辺で見出される可能性がある。レジスタンスは、再び1.2900と1.2980で見出されるだろう。
USD/JPY
• USD/JPYは引き続き上昇し、103.90~104.00領域でレジスタンスを見出した。104.00のレジスタンスを突破すれば、同ペアはさらに100pip推移し、105.00に向かう可能性があり、中間的なレジスタンスは104.70にあるトップ・ボリンジャー・バンド水準で見出されるだろう。RSIもストキャスティクスも、買われ過ぎの水準を示しているため、一定の戻しが生じる可能性は高く、サポートは、102.00と101.35で見出されるだろう。
AUD/USD
• 昨日、AUD/USDは暴落し、0.9700のサポート水準を下方突破した後もその動きが続いた。次のサポート水準は、0.9600の心理的水準と、2年ぶりの安値である0.9537で見出されるだろう。平均方向性指標(ADX)は、50を上回る水準を示しており、現在のAUD/USDの下方トレンドがいかに強いかを示唆している。この下落から反発すれば、レジスタンスは、0.9700と0.9800の水準に現れるだろう。
金
• 金は、2日連続で、わずかに下げて終わり、スピニング・トップを形成し、買い手と売り手の間が若干優柔不断な状況にあることを示唆した。金は、サポートを、直近2日間で形成しつつあり、ボトム・ボリンジャー水準で形成し続け、1350ドル水準で形成し続ける。この水準から突破すれば、直近のサポートは、1340ドルで見出され、その後は1320ドルで見出される。レジスタンスは現在、1385ドルにあり、次は1400ドルに現れるだろう。
原油
• WTIは昨日2日連続で暴落し、いくつかのサポート水準を突破した後もその状況が継続している。直近のサポートは、現在試されつつある93.50ドルで見出される可能性がある。この水準は、2年半にわたる上昇トレンドラインであり、従来の安値でもある。この水準を下回れば、重要なレジスタンスが、従来の安値であり、ボトム・ボリンジャー水準でもあり、92.00ドルの心理的水準を抱える92.30ドル~92.00ドル領域に存在する。RSIとストキャスティクスは売られ過ぎの水準からは程遠いため、さらに低下する可能性はかなり高いと考えられる。レジスタンスは、従来の高値である94.50ドルと95.00ドルに現れるだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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