市場は、先週FRBの政策の変更が発表され、それを消化するために3営業日と週末の時間を要した。今や市場は、何が起こる可能性が高いのかを検討する機会を得たので、ある程度の静けさが戻ってくるだろう。中国も、目標資金注入によって市場を鎮めるという手段を講じており、これが、懸念を最前線から払拭するのに功を奏している。しかし、量的緩和の「後退」のペースと、その影響がどうなるのかという問題は、依然として残っており、全体の論調としては、これまでに比べ、リスク選好的色彩が薄れる可能性は高い。
USDは、事実上全ての通貨に対して上昇したが、唯一の例外は、ブラジリアンレアルであった。その上昇は、特にスカンジナビア諸国通貨に対しては堅調であった。ノルウェークローネは特に、先週の木曜日にノルウェー銀行会議が緩和策を採用してから、急激に下落した。最近まで、良好な経済データを受けて上昇していたSEKは、NOKにおける急激な下落の後を追うかのような動きが概して観察された。こうした動きは、最近では、中央銀行の政策がいかにその通貨を決定づけるかということ、また中央銀行としては、FRBがいかに特異な位置づけにあるかということを示しており、こうした金融引締めに傾く姿勢が、USDを下支えする(そしてその他の通貨を下落させる)可能性は高い。
本日、欧州のデータは、6月のIfo景況指数に限定され、同指数は、企業景況指数は105.7にとどまり、景気現況調査が110.0から109.5へと若干悪化すると予想される。しかし、景気予想は、2ヵ月前の101.6から102.0へと反発することが予想されている。米国では、5月のシカゴ連銀全米活動指数が、-0.53から-0.15へと改善することが予想され、6月のダラス連銀製造業景況指数は、-10.5から-1.0へと改善することが予想される。しかし、ダラス連銀のフィッシャー総裁は、FRBの意図をさらに明らかにしようとすることが予想されるため、彼の演説の方がより重要であろう。フィッシャー総裁は、超タカ派で、ロイター/トンプソンのハト派/タカ派評価における5段階中の5(最もタカ派的)に該当する。このため、バーナンキ議長のよりハト派的な物の見方と見比べることで、彼の発言によって事態が混乱する可能性は高まるだろう。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、金曜日にさらに下落し、USDが全面的に続伸となったため、小幅な30pipの下方ギャップで始まった。現在、強力なサポートが1.3075にあり、そこには、7月~2月のラリーの38.2%フィボナッチ水準と50日移動平均と200日移動平均が集中している。その後のより弱いサポートは、1.3030と、1.300をわずかに上回る水準に見出され、1.2980と1.2955にはさらに十分に試された水準がある。試されたレジスタンスは、1.3115のフィボナッチ水準に見られ、強力な反発によって1.3160にレジスタンスが現われるだろう。5日ストキャスティックは、充分に売られ過ぎの水準にあるが、14日およびRSI が行き過ぎた水準に到達するにはまだある程度余裕がある。
USD/JPY
• 1兆1400億ドルを運用する年金積立金管理運用独立法人のトップが、日銀が設定した2%のインフレ目標に関し、達成を疑問視しているにも拘わらず、USD/JPYは本日、どうにか97.90-98.15領域に見出される重要なレジスタンスを突破した。同ペアは、日本の与党である自由民主党(自民党)と連立政党が、週末の東京都議選で3分の2の議席を獲得し、これが、7月の参院選の自民党の情勢と、安倍首相による経済改革の立法目標の達成可能性に関する良い前兆となるとのニュースを受け、活気づいた可能性がある。11月~5月のラリーの23.6%リトレースメント水準である97.90は、今や強力なサポートとして機能する可能性が高く、最初のレジスタンスは98.85に、その後は、50日移動平均である99.15と99.35に、そしてこれを突破すれば、レジスタンスは100円の大台をわずかに下回る水準に現れるだろう。
USD/SEK
• 金曜日、USD/SEKは続伸し、200日移動平均を突破した後、重要な、試されたレジスタンスであり、アッパー・ボリンジャーバンドも見られる6.7150水準からリトレースした。6.7250を突破すれば、次の重要なレジスタンスは、かなり上方の、2012年の高値であり、2012年6月~2013年2月の下落の50%リトレースメント水準も見られる6.8000に現れるだろう。その後、弱いレジスタンスは、6.8740に現れる可能性が高い。サポートは、6.6550で見出される可能性があり、より強力なフィボナッチ・サポートと200日移動平均サポートは6.6200で見出されるだろう。
金
• 金の散々な週は終わり、1302ドルのレジスタンスへと小幅な回復を遂げ、週末の損失を6.8%にまで削減した。レジスタンスを突破すれば、1320ドルに向けた一時的なラリーが生じるだろう。重要なサポートは、1285ドルに現れ、次のサポートは、最近の安値である1269ドルに存在する。この安値を突破すれば、弱いサポートが1228ドル前後に現れるだろう。
原油
• WTIとブレントは、金曜日の朝以来、いずれも1.9%下落し、スウェーデンクローナに次ぎ、USDの上昇による最大の敗者となった。原油も、中国の景気鈍化の兆候が増加していることによって影響を受けている。50日移動平均レジスタンスが94.05ドルに現れ、93.50ドルは一定のサポートとして機能するが、強力なサポートは、200日移動平均と2つの注目すべきフィボナッチ水準が存在する92.35ドルに現れるだろう。反発すれば、94.50ドルでレジスタンスを見出すだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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