今週は、中央銀行会議と経済指標の発表を控え、金融市場にとっては重要な週となるだろう。今週はファンダメンタルな観測が、テクニカル要因よりも重要となる可能性は高い。今週のFRB会議と経済指標の発表に向けてトレーダーがポジションを取っているため、通貨市場は非常に活発になっている。
FRBは、最近のまちまちなデータ結果を評価することで、9月に債券買い入れ額の減額を始めるかどうかを決定するため、2日間にわたる政策会議を火曜日に開催する予定である。第2四半期のGDPは7月31日に、また、今月の雇用統計は8月2日に発表される。USDは、FRB会議と米国の重要な雇用統計を控え、圧力に晒されている。
木曜日には、製造業指数が世界中で発表される予定で、中国の公式なPMIの発表がその先鞭を切るだろう。中国は、成長率の鈍化に苦悩しており、コモディティーは圧力に晒されているが、USD安によってその損失は限定的なものとなっている。中国は、公的債務全体を見直し、金融システムのストレスを評価すべく、政府債務残高の監査を始める予定である。
中国の経済ニュースが期待外れのものとなったことから、JPYは対USDで1ヵ月ぶりの高値まで上昇した。今週、TOPIX企業が、第1四半期の業績を発表する予定である。
欧州中央銀行とイングランド銀行も、今週、政策会議を開催する予定で、緩和政策を維持するとみられる。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、依然として強気な短期的上昇トレンドにあり、1.325の重要な領域に向けての上方突破に成功した。同ペアは依然として20日移動平均と200日移動平均のいずれをも上回っている。長期的には(日足、週足)、1.3415と1.275の間の取引レンジにある。
• サポート:サポート水準は1.325領域(従来のレジスタンス)、1.316(61.8%フィボナッチ)、心理的水準である1.30に認められる。
• レジスタンス:1.325領域の突破に成功すれば、1.3415に向けた動きが予想される。
USD/JPY
• USD/JPYは、金曜日のシメトリカル・トライアングルの突破後、下落傾向が続き、その週の取引時間の最後の数時間で、98.65の重要な主たるサポート水準(前回の上昇局面の38.2%フィボナッチ・リトレースメント水準でもある)をどうにか突破した。オーバーナイトでは、50%フィボナッチ水準である97.65に達した。その上、20日移動平均が、200日移動平均を下回る方向にクロスすることで、「デスクロス」パターンを完成させ、同ペアの弱気な傾向を裏付けた。
• サポート:価格は現在、50%フィボナッチ・サポート水準である97.65を試しつつある。もし、これを下方突破することができれば、次の重要な領域は、96.97- 96.74(61.8%リトレースメント)領域と93.77に現れる。
• レジスタンス:金曜日に98.25にあったサポートは、現在レジスタンス水準となっている。その他のレジスタンスは、100.80と101.5の水準に認められる。
AUD/USD
• AUD/USDは、短期的(4時間)チャートでは、トライアングル・フォーメーション(青色の印)内での保ち合いにあるとみられ、依然として事実上、長期的な下落傾向の調整の可能性を示唆している(日足チャート)。ご覧のとおり、同ペアは、0.9293のレジスタンスに近い水準で取り引きされており、この水準をいつでも再び試すことが可能な状態にある。またご覧のとおり、同ペアは、20日移動平均を上回ってクロスしたが、依然として、前述のレジスタンス水準に等しい200日移動平均を下回っている。この水準を上方突破すれば、それは重要な事態となるだろう。
• サポート:サポート水準は、0.9136と0.9011に認められる。
• レジスタンスは、0.9293にあるレジスタンスの上方突破が確認されれば、AUD/USDは次のレジスタンス水準である0.9380、0.9607(38.2%)、0.9780(50%)に向けて推移するだろう。
USD/CAD
• USD/CADは、依然として短期的な下落トレンドにあり、20日移動平均と200日移動平均のいずれをも下回っている。日足チャートでは、サポートとなる可能性があり、下落トレンドを反転させる可能性のあるトレンドライン(青色)に達している。一方、この水準を下方突破すれば、同ペアはさらに下落する方向へと推移するだろう。
• サポート:サポート水準は、1.023領域と1.015領域に認められる。
• レジスタンス:短期金利にとって最も重要なレジスタンス水準は、1.034と1.0427である。
金
• 金は、依然として4時間チャートではリトレースメント段階にあるが、昨晩の取引時間中には、ある程度下落した。引き続き200日移動平均を上回っており、現在、20日移動平均と長期的な下落トレンドの23.6%フィボナッチ・リトレースメント水準を試しつつある(日足チャート)。このため、この上昇の動きは、引き続き、長期的な下落トレンドにおける健全な調整であると考えられる。
• サポート:サポート水準は、1298.66と1268.43の価格水準に認められる。
• レジスタンス:上述のとおり、23.6%フィボナッチ水準を試しつつあるが、これを突破すれば、次のレジスタンスが1348.20と1416に控えている。
原油
• WTIは、ヘッド・アンド・ショルダー・フォーメーション(赤色の印)を完成した後、4時間チャートにおいて、下落トレンドに転じた。ご覧のとおり、ネックライン(緑色の線)の突破に成功した後、価格は再びこれを試し、下落の動きが続き、青色で示されたチャネルに突入した。これは、日足チャート上の長期的な上昇トレンドにおける健全な調整であると考えられる。
• サポート:価格は、105.03にある23.6%フィボナッチ・リトレースメントを突破し、102.34のサポート水準に非常に近い38.2%フィボナッチ水準に向けて推移している。
• レジスタンス:レジスタンスは、最近の高値である107.57、108.84、重要な110前後の領域に認められる。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者