本日始まるバーナンキ議長の半年に一度の議会証言を控え、USDは広範な下落となった。USDは、すべてのG10通貨と当社がフォローしている15の新興市場の大半の通貨に対して下落した。米国の経済ニュースが、量的緩和の縮小を支持したが、USDに対する影響はなかった。(米国の6月のCPIが予想を上回ったことから、FOMCメンバーの間に依然として残るインフレ率が低すぎるという懸念が緩和され、1下落すると予想されていたNAHB住宅センチメント指数は、5ポイントの急騰となった。)堅調な決算発表にも拘わらず株価は下落し、米国債利回りが、CPIの上昇にも拘わらず下落したため、結局市場は、データ以外のものに注目していることが明らかとなった。
本日は、データに関しては閑散とした一日が予想されるが、3つの中央銀行のイベントが予定されている。主なものは、本日行われるFRBのバーナンキ議長による議会の金融サービス委員会に対する1年に2度のプレゼンテーションと、明日の上院金融委員会に対するプレゼンテーションである。彼の事前に準備された声明は、FOMCからの直近の声明にかなり沿うかたちとなるものの、その後は、通常、下院議員の面前で質疑応答を行うことになる。彼らは、FRBがいつ量的緩和の縮小を始めるつもりなのかを、彼から聞き出そうとするだろうが、すべての条件が整った場合、「年内に行う」という彼の従来の発言を大幅に超えるような内容は期待できないだろう。その際、経済がそれらの条件を満たす可能性が高いかどうかということに関する質問が彼に投げかけるのは間違いないだろう。FOMCの6月の会議が開催された後に発表された6月の雇用統計は、かなり堅調であった。このことが、FOMCにおける見解のバランスを変化させたかどうかを明らかにするために、彼を追求しようとする者もあるだろう。また、彼が5月末に量的緩和の「縮小」について発言し始めてから、債券利回りが上昇しており、このことが米国経済に対して影響した可能性があるということについて、また、「量的緩和の縮小の恐れ」がそのプロセスを止めるという還元ループが始まった可能性があるのかどうかということについて、彼に圧力が掛かる可能性は高い。最近の彼の発言は、ハト派的な方向に傾く傾向があり、これがUSDに対して再びマイナス要因となり始めている。彼から同じような発言がある可能性は高く、これによってさらにUSDは弱含むだろう。この1週間、USDが大半のG10通貨に対して、1%~2.5%下落している(対EURでは-2.25%)点に見られるとおり、そのほとんどは既に価格に織り込まれているが、それでもある程度の反応はあるだろう。
英国では、イングランド銀行の金融政策委員会が8月に発表するとした「将来の政策指針」に関して、より克明な内容が明らかになる可能性があるかどうかを見極めるべく、同委員会の議事録の発表が注目されるだろう。また、妥当な短期金利水準がどの程度であるかということも、関心事である。これらの問題に関してより詳細な内容が明らかになれば、GBPに対してマイナスに働く可能性は高い。最後に、カナダ銀行金融政策委員会が本日開催されるが、金利の変更を予想する者は見たらない。しかし、新総裁の下での初めての会合であるため、会議後の声明に変化が生じることを期待するだろう。投資家は、見通しに何等かの変化が現れるかどうかを見極めるべく、四半期に一度の新たな金融政策レポートにも注目するだろう。
データに関しては、英国の6月の失業保険申請件数は減少し、労働者の平均所得は上昇すると予想される。ILO失業率は、依然として7.8%で変わらないと予想される。米国の6月の住宅着工件数については、前月比で、5月の+6.8%から若干鈍化して5.0%の上昇が予想されるが、建築許可件数は、5月の3.1%の減少に対し、1.5%の増加が予想される。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、200日移動平均を上方突破した後、日足でも、また4時間足でも上昇した。特に1.3200水準が突破されれば、さらなる上昇の動きが予想される。ストキャスティックが、買われ過ぎの水準にあるため、戻しが発生する可能性もある。レジスタンス水準は、1.3200と1.3290で見出され、サポートは1.3065と1.3000で見出される。
USD/JPY
• USD/JPYは引き続き下落し、ストキャスティックは売られ過ぎの水準に達した。重要なサポート水準が、従来の高値であり、200日移動平均(4時間)である98.40に存在する。この水準を突破すれば、USD/JPYは暴落する可能性がある。レジスタンス水準は、100.10と100.70に、サポートは98.42と97.00に現れる。
USD/NOK
• 昨日、USD/NOKは、重要な6.000水準に達しようとしているミドル・ボリンジャーバンドから下方反発した後、G10通貨の中で最大の下落を示した(すなわち、NOKが対USDで最も上昇した)。非常に重要なサポートは、200日移動平均である5.9520に近付きつつある。ストキャスティックは、売られ過ぎの領域に達した。レジスタンス水準は、6.0920と6.1800に、サポートは、5.9529に現れ、これを突破すれば5.9000まで推移するだろう。
金
• 金は昨日上昇したが、引き続き狭いレンジでの取引となり、1300.00水準が重要な水準となっている。ストキャスティックは、買われ過ぎの領域に達しようとしている。レジスタンス水準は、1300.00と1343.00に、サポートは1260.00に、その後は1226.50に見出される。
原油
• WTIは、2週間の上昇トレンドラインを下方突破した後、105.40でサポートを見出した後、下げて終わった。現在のサポート水準を突破すれば、さらに下方へ向かうことが予想される。レジスタンス水準は106.70と107.40に、サポートは105.40と103.90に見出される。
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