Tencentホールディングス(OTC:TCEHY)は、終わらない下落に見舞われているように見えるだろう。これには中国当局による規制などのマクロ的な要因があげられる。この下落が止まる目処はいまだ立っていない。
株価は、先週さらに7%下落した。通年では合計23%の下落である。Tencentは香港の ハンセン指数の中で最も悪いパフォーマンスの企業の一つである。
政府の規制、トランプ大統領の追加関税、その他マクロ的な懸念
中国版Facebook (NASDAQ:FB)と言われるTencentは先週、子供や10代の近視の増加を受けて、中国政府はオンラインゲームに対し規制するというニュースを受けて下落した。中華人民共和国教育部は、オンラインゲームのタイトル数や若者のゲームプレイ時間を制限し、年齢に合わせた管理システムを開発する予定だという。
もしこの規制が始まれば、Tencentの見通しはさらに厳しいものとなるだろう。iResearchの調べによると、Tencentは2018年の年初の時点で中国のモバイルゲーム市場の半分以上のシェアを占めている。
Tencentは、WeChatのユーザーを保つために新ゲームに頼っている。ゲームは10億人以上の潜在的な顧客に対しゲーム内課金や広告を売ることができる。しかし、ゲーム認可に対する規制が強まったために、Tencentは世界的に人気なゲームである、フォートナイトやPlayerUnknown’s Battlegroundsをまだ収益化できていない。
先月、Tencentは13年間で初めて四半期決算で利益を落とした。モバイルの総売上高は第1四半期から19%下落した。Martin Lau氏は第2四半期の決算を発表した後の8月15日の電話会議で「総売上高の成長の観点から言うと、ゲーム部門は弱く、マネタイズに成功していない」と述べた。そして「(政府の規制等によって)これはいわゆる不可抗力であるが、時が経つにつれこの問題を解決する」と付け加えた。
加熱する米中間の貿易戦争に加え、中国のオンラインゲームへの規制によって、Tencentを含めた中国株のスランプがすぐに反転することはかなり難しいだろう。
第2四半期の中国経済の成長はスローペースになっている。中国企業の利益成長は前年同期の47%から16.2%まで縮小した。また小売売上高の成長は2018年に一気に停滞し、前年比9%を切っている。
悪化するマクロ的な要因により、中国テクノロジー企業が停滞は続き、さらに悪化する可能性がある。
強いメインビジネス、堅調な経済圏
しかし、短期的な中国株悪化は、Tencentを安く買ういい機会なのではないだろうか?なぜなら、長期的にみればTencentのメインビジネスと独特なビジネスモデルの強さは十分に評価できるものであるからだ。
Tencentが創り上げてきた活気があり、堅調なソーシャル・ネットワークを他で探しても見当たらない。ビデオブログや、インスタントメッセージ、そして決済アプリなどの機能がTencentにはあり、10億人以上の登録者に対してプラットフォームを提供している。
メッセージアプリのWeChatに加えて、Tencentはクラウドコンピューティングや電子決済の領域に投資している。これは、間違いなくこれからの成長の燃料となるだろう。
また、過去5年間で投資家に330%のリターンをしたTencent株は、またこれからも成功することを信じてやまないアナリストがたくさんいる。 Yahoo ファイナンスによると、Tencent株に詳しいアナリスト37人中、23人は「強い買い」、13人が「買い」と評価している。最近の下落にもかかわらず、この見解は6月から変わっていない。
要点
Tencentの現在の下落は、このまま自然と続くとは考えられない。もしすでに長期投資としてTencent株を持っているならば、保有している価値は十分にある。またもし、この下落で今から買おうとしているのなら、相場サイクルが成熟するまで様子をみることをおすすめする。
米中間の貿易戦争に巻き込まれている限りは、Tencent株の底を確認することはなかなか難しい。この懸念が一段落つけば、投資家たちはTencent株で利益を挙げられるチャンスが訪れるだろう。