先週から中国発の金融不安が止まらない状況ですが、この背景には2つの原因があります。
一つは、景気状況が悪いということと、もう一つはやはり米国FRBの利上げ開始が不安をあおっていることでしょう。
利上げは金融市場から資金を引き揚げるほうに作用し、新興国通貨からドルへの流れが起きています。
来週に米国FOMCがあり、今後の金融政策をどう考えるのかに注目です。
金市場展望
さて、NY金市場ですが、年明けは金融不安からNY金が上昇しましたが、不安が一時落ち着くと下落して1080ドルを割り込み、一目均衡表の基準線も下回りました。
1080ドル近辺は、これまで上がるか下がるかの節目になってきていました。週末は金融不安で上昇し、1080ドルを上抜き、再び基準線の上にきています。
しばらくは、中国不安での上下が続き、不安台頭でNY金上昇、不安後退でNY金下落といった動きになるでしょう。
東京金は、50-100円の上下値動きが続くでしょう。
大きく上下したNY金ですが、投機筋のポジションはどうでしょうか。
最新の1/5のデータでは、売りが減って、買いが増え、買い越しが増加していました。
これは年明けの上昇しているときのデータです。その後の下落でおそらく増えた買いが減って、下値では売りが増加していると思われます。
総じて、売り玉が多く残っていることは変わりません。
今回はこの売りが多い状態が長く続いており、9週目に入ります。
この売りの状況が上値を抑えている要因になっています。
しばらくは、トレンドは追えないでしょう。
NY白金展望
NY金が下落につれ安となる中、工業品銘柄である白金は株安により、金より下げ幅が大きくなり、安値を更新しました。
株が安いと、中国元が安くなり、新興国通貨も下落する流れにあります。
南アの通貨ランドの下落も白金が下落している大きな要因です。
大暴落したランドは、戻した後もズルズルと下落しており、ドル建て白金価格は下落しています。
東京白金は70円前後で上下に荒い値動きになっています。
底打ちは近いかもしれませんが、値ごろ感で取引するのは控えたほうが良いでしょう。
NYダウの動きとNY金との関係
こちらは、NYダウ月足の一目均衡表チャートです。
現在の動きは、リーマンショック時の動きによく似ています。
2007年上昇基調にあったダウは、翌年から下落して、一度基準線を割れた後、上昇して戻しましたが、再度急落して基準線を割り込んでいきました。
今回の動きも2015年前半まで上昇してきたダウは、一度基準線を割り込む安値を付けた後に、上昇して戻しましたが、今年になって急落して基準線を割り込んできています。
昨年8/24の安値割れをめざし、一目均衡表の雲上限の15000ドル前後まで行くでしょう。
注目は、NYダウとNY金との関係です。
まず、NYダウは調整局面にきています。このNYダウが大暴落でなければ、NY金は上昇するでしょう。
しかし、大暴落となれば換金性にすぐれる金融商品は売られ、金は下落するでしょう。
しかし、これまで減り続けていた金ETFの動向が変化しつつあります。
年明けからETFは増えてきており、株から金に資金がシフトしてきている可能性があります。
まだトレンドは見えにくいですが、これは注目すべき変化です。
ガソリン100円割れ?気になる原油の動向は?
最後に、貴金属市場にも影響する原油の今後の動向をみてみましょう。
これは東京原油60分足の一目均衡表チャートです。
店頭では、ガソリンが100円に迫ってきていますが、原油はどこまで安くなるのでしょうか。
60分足を見ると、これまで雲が上値抵抗になり下げ続けてきています。
トレンドは下降継続で、まだ安値があるでしょう。
反転の兆しは、60分足の雲を上抜けるが最初のポイントです。
これまで下落が続いているため、反発すると4000~5000円の大きな値動きになると思われます。
原油が出直しして上昇してくると、他の商品も上昇へ向かうと思われ、この原油の動向にも注意が必要です。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。