先週注目された雇用統計ですが、結果は予想18.5万人増を大きく上回る27.1万人増とポジティブサプライズになりました。
イエレン議長が重視している雇用の質のひとつである賃金上昇率もそこそこ伸びており、これで12月の金利引き上げが決定的になってきました。
この結果を受けて、NY金価格は1100ドルを大きく割り込んでいます。
振り返ると、NY金は10月の雇用統計がネガティブな結果で利上げ思惑は後退し、1100から1190ドルまで上昇していました。投機筋の買い玉は、900トン近くまで積みあがっていました。
ところが、その後10月28日のFOMC声明文で、再び年内利上げの思惑が台頭して、積み上がっていた買いの手仕舞いで、下落に転じています。
とどめが、週末の雇用統計を受けての1100ドル割れでした。
投機筋の買い玉は、11/3付の数字で買いは800トンから700トンへ急減。売りは、200トンから300トンに急増しています。
その後3日続落で、一目均衡表の雲を割り込むなどさらに下落していることを見ると、推測ですが買いの整理が一段と進み600トン台になっている可能性があります。
これでNY金は、手仕舞い売りが一巡で、出尽くしとなったのではないでしょうか。
目先、中期のポイントとして、今年7-8月に1080-1100ドルの底値でもみあった動きが参考になります。
このとき、投機筋の売りが増えていました。
マーケットは買い手仕舞いが出尽くし、ここから下落するには投機筋の新規の売りが増えるかどうかが鍵になります。
結論として、NY金はこれまで利上げ思惑が不安要素になり2年間下落し続けてきました。
ところが、週末の雇用統計の結果を受けて、いよいよ12月利上げが決定的な状況になってきています。
思惑ではなく現実に実施されると不安心理は消えてしまいます。
投機筋がここから売り新規を建て、相場が下落していくのは難しいでしょう。
私は、弱材料である年内利上げは織り込んだと思っています。
目安は、1085ドル安値で終値でここを割り込むと、売り追撃となり下値の不安が残ります。
この場合は、東京金は円安がサポートになりつつも、下落圧力を受けるでしょう。
プラチナ展望
NYプラチナは、金につれ下落し、950ドルを割り込みました。
しかし、金のように、投機筋の買いは積みあがってはおらず、整理売りは限定的です。
先週、大手鉱山会社のロンミンが経営破たんするのではないかとの見方があり、相場のサポート要因になっています。
ドル円展望
ドル円は、118~121ドルのレンジを抜けて、一気に123ドルまで円安が進みました。
今度は、122円がサポートになり、125~126円を目指すと思われます。
東京の貴金属は円安がサポートになり、価格を押し上げるでしょう。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。