過去一年間を通し、投資家は銀行株に対し慎重になっている。米国株は歴史的な上昇を見せる中で、特に米国の最大の金融企業であるシティグループ(Citigroup Inc.)は遅れをとっていた。
しかし、銀行株が停滞しているという事実は、過去のものになる可能性が高い。米国の主要銀行の第3四半期の決算では、消費者信頼感が高く、企業の投資が拡大しており、貸倒損失が最小であることによって恩恵を受けている。
16日に発表された ゴールドマン・サックス (NYSE:GS)とモルガン・スタンレー (NYSE:MS)の第3四半期の決算は、予想を上回るものだった。ゴールドマン・サックスの利益は19%上昇し、モルガン・スタンレーの純利益は17%上昇した。
また、 JPモルガン・チェイス (NYSE:JPM)もアナリストの予想を上回る結果になった。取引利益が弱かったが、消費者向けビジネスによって埋め合わされ利益は24%上がっている。
銀行株は再び魅力的なものになっている。
もし、銀行株に手をだすのならシティグループはもっとも良い選択の一つだ。
シティグループ:反発の準備はようやく整った
2008年のリーマン・ショック以降の各銀行のパフォーマンスから判断すると、シティグループは回復に遅れをとっていた。リーマン・ブラザーズが2008年9月中旬に倒産し、シティグループ株はその年60%下落し、米国の主要銀行の中で最も影響を受けた。
シティ・グループの 第3四半期決算は先週の金曜日に発表され、数年来のコスト削減やリバランスによって回復していることがうかがえる。第3四半期では、12%利益が増加し462億ドルとなっている。EPSは1.69ドルの予想に対し、1.73ドルであった。
営業費用は1%減少し、シティグループは財政目標に対し順調である。また、シティグループは、クレジットカードビジネスからの収益を改善している。アナリストはこれらの改善によって、シティグループの収益見通しを高めている。
マイケル・コーバットCEOの手腕による過去6年間の安定したコスト削減による改善が、シティグループ株に投資する最大の理由だろう。コスト削減として、費用に対する収益の割合の改善の努力をしてきた。
他の銀行株ではなくシティグループ株を買う他の理由として、大胆なキャピタルリターンのプランがあることだ。今年、シティグループは四半期配当金が0.13ドル上がり0.45ドル、利回りは2.60%である。シティは自社株買いをし、176億ドルを投資家に還元するためだと述べている。
第3四半期では、シティグループは自社株買いによって64億ドルを株主に利益配分した。過去12ヶ月で、自社株買いによって普通株式発行高を8%である2億ドル以上消却した。
要点
決算結果を考慮すると、シティグループより魅力的な銀行株はないだろう。シティグループ株は他の銀行株に比べて割安で取引されている。
現在69.71ドルで取引されており、シティグループは金融関連の大企業の中でもっとも安いひとつである。連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの見通しと米国経済の好調さを考えれば、シティグループ株はここから上昇する他ない。(一般的に利上げは米国銀行株式にとってプラスである)シティグループは他の銀行株に埋もれていたが、今後の力強い上昇が見込まれる。