月曜日に最もパフォーマンスが悪い通貨は英ポンドで、主要通貨すべてに対して急落した。
イギリスのメイ首相が火曜日にもブレグジットに関して議会投票を行う方針を示しており、英ポンドにとって今週は重要な週になる。バーコウ下院議長によると、議会で採決にかけるには以前の協定案と「根本的に異なる」必要があるとのことだ。
英国は3月29日の欧州連合(EU)離脱期限まで時間の余裕はなく、メイ首相は正式にEUへリスボン条約第50条による離脱延期を要請する必要がある。 離脱延期にはイギリスを除く27カ国すべてが承認する必要があるため、21日(木)のEU首脳会議が延期の合意を得られる機会となる。しかし問題は、メイ首相が要請しなければならないという事であり、まだEUに要望していない状態だ。
議会での協定案の採決もない状態のメイ首相は望んでいる「短期間の技術的延期」を求める正当な理由がほとんどない状態だ。短期感で打開できる見通しが立たない中、代わりに2度目の国民投票につながる長期間の離脱延期を余儀なくされるだろう。メイ首相が21日(木)までに延長を要請しなければ、EUは残り11時間という状態で3月28日に緊急サミットを開催する必要に迫られ、ポンドは深刻な問題に直面することになる。
メイ首相が21日(木)までに3度目の英議会採決が行えるように協定案に十分な変更を行わない限り、 GBP / USDは1.30に下がる可能性がある。そしてこの動きは21日(木)に開催されるイングランド銀行金融政策委員会にとって喜ばしいことではない。
また、19 日(火)発表の失業保険申請件数が下振れた場合、英ポンドはさらに下落する可能性がある。PMIはサービス部門が2011年以来最大の雇用の減少を記録した一方、製造部門は6年間で最大の失業率を記録した。テクニカル的には、安値と高値がともに切り下がり、英ポンドがさらに弱くなることを示唆している。
他の主要通貨の取引は静穏だった。ニューヨーク市場において下押し圧力の中で始まった 米ドルは時間が経つにつれて下落の一部を回復した。 連邦準備制度理事会の連邦公開市場委員会(FOMC)とパウエルFRB議長の記者会見は今週のドルにとって最大のイベントだろう。解決しない米中貿易摩擦とブレグジット問題もあることで、「忍耐(様子見)」がFRBの継続的な姿勢になるだろう。
予想以上に強い貿易収支が EUR / USDの上昇をサポートしたが、上昇は下降する50日と100日の移動平均線の下で止められている。日本の強い貿易収支やニュージーランド株式市場の記録的な株高にもかかわらず、商品通貨もまた高値から下落して最安値に近いところで取引を終えた。
19 日(火)発表の経済指標では、ドイツの ZEW景気期待指数の下振れリスクにも警戒する必要がある。乳製品取引価格指数もあるが、 ニュージーランドドルへの影響は軽微だろう。