先週は、先々週からの各市場で不安が広まり混乱する中、貴金属相場も下落しました。
先週の市場の動きをまとめると、このようになります。
為替市場では、ドル円が1時間で5円ほど円高へ、株式市場は日経平均が1000円の以上の乱高下、ダウも引け1時間に600ドル以上下落する日があるなど、大混乱となりました。
恐怖指数と呼ばれるVIX指数は、リーマンショック以来の水準まで数値が跳ね上がりました。このVIX指数は、過去20年でリーマンショック時以外は50以下で推移していたものの、今回は50を大きく上回る水準となりました。それだけ混乱が大きかったいえるでしょう。
ただし、私はこのパニック的な市場の混乱で、貴金属市場は『陰の極み』が出たのではないかと思っています。
相場のムードは総悲観ですが、買い相場は悲観の中で生まれると言われています。先週の動きは、そんな動きだったのではないでしょうか。
つまり、ここからは買い目線で市場を見るということです。
NY金の日足をご覧ください。
通常は株が下落するときには、金は安全資産として見直されることがありますが、総悲観の中では流動性の高い金は売られる傾向にあります。
今回は、株が急落する前は金は上昇していましたが、暴落したときは現金化の動きから金も売られ下落しました。
投機筋のポジションを見ると、下落途中であった8/25付のデータでは、1週間前に比べて買いが増えて、売りが大きく減って買い越しが増加しています。つまり、急落前には投機筋の売り方の手仕舞い(ショートカバー)が入り相場が上昇していたことが分かります。
まだ買い越しの数量は少なく、今後まだショートカバーが進むことが予想されます。
一方で、フォワードレートはマイナスが続いており、金融市場では金が品薄になっている状態です。
週末はNY金が10ドル上昇しましたが、これはFOMCのメンバーであるミネアポリス連銀の総裁がQE4ともとれる金融緩和を示唆したことが影響したようです。
金融市場の不安を受けて、9月の利上げ観測が衰え、逆に金融緩和が囁かれ始めています。
仮に、QE4となった場合、金市場は売りが減って、買いが900トン近くまで膨れ上がる可能性があります。相場はおそらく1200ドルをつけるでしょう。
個人的には、QE4が現実味はないと思っていますが、金融マーケットの不安が続き、デフレ懸念に見舞われると、その可能性は出てきます。
9/16-17のFOMCで利上げ決定となるかどうか、9/4の米国雇用統計の結果に大きな注目が集まっています。
今週は、週末の雇用統計をにらみ、様子見ムードが漂うのではないでしょうか。
最後に、白金です。
金が横ばい推移につれ、今週はあまり動かないのではと思っています。
ただし、南アで鉱山会社と労働組合、政府が一丸となり、中央銀行に、白金の保有を始めるよう嘆願する予定というニュースが入ってきました。詳細は、今週前半にわかると思いますが、南アだけでなく、ブリックスにも保有を提言していくようです。
現実味を帯れば、白金の強気の材料となるでしょう。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。