いつもは短期的な見通しをお話していますが、今週は金の中期的な流れについてお話しようと思います。
私は、相場の材料は後からついてくるものだと思っています。
大切なことは、今が上げやすい状況か、下げやすい状況か、つまり相場がどちらに行きたがっているのかを見極めることだと思います。
特に、重要なイベント前には、特に準備が必要です。
それでは、早速NY金の投機筋のポジション状況を見てみましょう。
この数字は、NY金市場の毎週火曜日のポジション状況を示しています。
オレンジの棒グラフは買いのポジション、青の棒グラフは売りのポジション、買いと売りのポジションの差引を緑の折れ線で示しています。
その下のグラフは、NY金の毎週火曜日の価格を折れ線で示したものです。
私は、投機筋のポジションの偏りを見ることで、相場がどちらに振れやすいかを見ています。
まず、差引とNY金の動きが連動していることが分かります。
今年、2月と3月の雇用統計はかなり良い数字となり、利上げへの思惑でドルが買われ、金が下落する局面でした(下のチャートの青○)。
実際に、この下落局面では、金の売りポジションが積み上がり、400トン台まで増加していました。
金の売りポジションは、400~500トン台以上は抜けない傾向にありますので、売りにポジションが偏っていると見ます。
それがショートカバーにより、売りポジションの買い戻し決済で、相場が上昇に転じました(下のチャートの赤○)。
実際に、400トン台後半まで積み上がっていた売りポジションは、300トン台半ばまで減少しています。
現在は、ショートカバーの勢いが緩まっている状況で、一方で買いが本格的に積み上がるまではいかず、どちらに行くか分かりにくい場面です。
今後の経済指標や企業決算に注目する必要があります。これらが雇用統計とともに悪い結果になった場合は、ドル売り、金買いで金の買いのポジションが積み上がってくると、トレンドが形成されてくるでしょう。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。