まずは先週末発表の米国雇用統計ですが、非農業部門の雇用者数が、予想16万人増に対して、結果は3.8万人増にとどまるというネガティブサプライズになりました。
ただし、失業率は改善するなどマチマチな結果でした。
直前のADP雇用統計、新規失業者申請件数などをみても、雇用情勢は事前予想と変わらない数字でした。
非農業部門の雇用者数の数字は、大幅に修正されることがあるため、今回の数字は鵜呑みにはできない結果です。
しかし、マーケットは3.8万人をベースに動きました。
雇用者数の結果を受けて、ドル安が進みNY金は30ドル以上の上昇になっています。
一方で、為替が106円台まで円高が進みました。
東京金はNY金につれて上昇しましたが、円高により上値を抑えられています。
一目均衡表でみると、東京金はネガティブサプライズの雇用統計を受けても雲を上抜けできておらず、トレンドの転換と見るには至りません。
また、東京金日足で見ると、下降トレンドは維持しています。
5/17の高値から下落が進み、相場は一目均衡表の転換線(青線)・基準線(赤線)を割り込み、その後は上値が転換線で抑えられているのがわかります。
この転換線を上抜けるまでは下降トレンドが継続するでしょう。
今夜はイエレン議長の講演会があり、今回の雇用統計の結果をどうみるか注目ですが、
今後は2~3日の様子見が前提ですが、東京金は下降トレンド維持で、下落が続くと見ています。
5月半ばから減った投機筋の買いが再度増えて相場が反発する可能性はありますが、テクニカル的には下降トレンドは継続です。
今回の雇用統計の結果を受けて、早期利上げ思惑が後退したにも関わらず、東京金は上がらなかったのは理不尽です。
理屈に合わない動きを見せるときは、すごく怖い市場になります。
勢いでズルズル動くことがありますので充分注意が必要です。
一方で、中期展望では、世界的にはまだ金融緩和が続くため、また金にお金が入ってくることでしょう。
従って、今後理屈に合わない動きで大きく下落したところは、年末に向けての買い場になるでしょう。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。
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