* 大論争:USDは昨日、ロシアルーブルを除く、事実上世界中の全ての主要通貨に対して下落した。2日間にわたるドイツからの予想よりも良いデータ発表後に、ユーロ圏に対する信頼感が一新されたと言えるのかもしれない。あるいは、世界中で株価が上昇するなど、「リスクオン」センチメントがUSDを全般的に押し下げているのかもしれない。欧州に関しては、1ヵ月のデータではなんとも言えない。これは3月のデータであり、4月のPMIはかなり不調であった。その上、アジアの貿易データは、世界的に貿易が鈍化していることを示唆している(ただし、いくつかの疑問が残る昨日の中国の輸出高は除く)。ドイツの小売売上高は減少し、世界の貿易は軟調で、どの地域に持続的な需要があるのだろうか?ドイツの3月の貿易データが発表される明日になれば、より多くのことがわかるだろう。
* 同時に、今の段階で米国に対して賭けようとは思わない。米国では、金融政策に対する議論が再燃しており、USDに対する強気基調が訪れる可能性は高い。昨日、ダラス連銀のリチャード・フィッシャー総裁(FRBの投票権のないメンバーでタカ派として有名)が、FRBは量的緩和に関して「やり過ぎの可能性」があると語った。リッチモンド連銀のジェフリー・ラッカー総裁とフィラデルフィア連銀のチャールズ・プロッサー総裁(投票権のないFRBの別のタカ派的メンバー)は、本日(プロッサー氏は2回も発言!)、同様の発言を行う可能性が高い。しかし、重要な点は、シカゴ連銀のチャールズ・エバンズ総裁がブルームバーグ・テレビに出演することである。彼は、FRBの投票権のある最もハト派的なメンバーの一人である。彼は、10月に遡って暗に言及し、最近観察された雇用者数の状況なら、量的緩和から撤退し始めるには十分であると述べた。もし彼が今でもそのように考えているとすれば、FRBの政策変更が近い可能性もある。
* 本日、イングランド銀行で再び会議が開催されるが、何か新たな発表が行われるのだろうか?データは最近若干改善しており、特にPMIについては顕著であり(ただし、「改善」には「それほど悪い状況ではなくなりつつある」が含まれる)、英国は、第1四半期のGDPが+0.3%と比較的堅調な成長率を示すことで(もちろん修正値次第ではあるが)、恐ろしい「三重苦」のリセッションを回避した。貸付に対する資金援助スキームの延長が、4月24日に発表されたばかりであり、まだ評価される機会を得ていない。もちろん、7月には新総裁の就任も予定されている。本日、金利や資産購入目標の変更を予想する理由はほとんどない。結果としてGBPはほとんど動かないだろう。
マーケット
EUR/USD
* 昨日、ドイツの鉱工業生産が予想よりも良かったことを受け、EUR/USDは右肩上がりのトレンドラインから反発した。米国では住宅ローン申請件数が1カ月半のうちで最も好調だったが、EURが上昇したため、小幅な一時的リトレースメントに留まり、レジスタンスが、既に試されている1.3200水準のアッパー・ボリンジャーバンドに現れた。トレンドライン・サポートは、十分に試された1.3075水準と、2月と3月のEUR/USDの38.2%リトレースメント水準である1.3120に現れる。RSIとストキャスティクスが強気に転じれば、一定のレジスタンスが1.3175に現れる可能性があり、1.3200を超えるレジスタンス水準は2カ月半のうちの高値である1.3240に現れるだろう。
USD/JPY
* USD/JPYは、11月以来維持されてきた右肩上がりのトレンドラインから再び反発したが、ドジを形成してその日を終え、クロージング・レジスタンスを、4月の高値以来維持されている右肩下がりのトレンドラインで見出した。本日のサポートは98.30に現れるとみられ、98.80がサポートとしてもレジスタンスとしても機能する可能性がある。RSIとストキャスティクスの弱気なクロスオーバーが実現すれば、次のサポートは97.70に現れるだろう。99.35が十分に試された最近の高値であるため、トレンドライン・レジスタンスは99.00に現れるだろう。
GBP/USD
* GBP/USDは引き続き持合い相場にあり、1.5480とほぼ3ヵ月間の高値である1.5600の間で取り引きされているが、昨日は、RSIとストキャスティクスのいずれにおいても買われ過ぎの水準が達成されたため、シューティング・スター・キャンドルスティックが1時間チャート上で形成されたことを受けて戻した。しかし、レジスタンスも1.5550前後に見られ、1.5480を下回るサポートは1.5410に現れるだろう。1.5600の高値を突破すれば、1.5630でチャネル・レジスタンスを見出し、注目すべきフィボナッチ水準が1.5690に現れるだろう。
金
* USDが弱含み、中国のデータが3月について貴金属に対する記録的な輸入水準を示したため、金は、重要なサポートである1450ドルから反発した。しかし、金に関して世界第2位の市場から発表される4月のデータは、4月の第2週目に価格が急落した後の宝飾品需要の急増を勘案すれば、この水準を突破する可能性がある。レジスタンスは、十分に試された1476ドルに現れ、次のレジスタンスは引き続き1485ドル前後にあると考えられる。
原油
* WTIは、2つのフィボナッチ水準がみられる95.60ドルをどうにか突破し、5年越しのトレンドライン・レジスタンスを上回る水準で閉じた(2008年の過去最高水準から延びている青で示された部分)。ドイツの好調な工業生産高と米国の住宅ローン申請件数が景気の明るさを示唆したため、好調だった上昇の動きは昨日も維持された。本日のレジスタンスは4回試された8ヵ月間の若干右肩下がりのトレンドラインである97.25ドルに現れる可能性がある。EIAの原油備蓄の増加が予想よりもかなり少なかったことを受けた昨日と同様、95.60ドルは再びサポートとして機能する可能性がある。次のサポートは94.50ドルに現れ、レジスタンスを突破すれば、2013年の高値である98.60ドルを試す可能性もある。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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