NY金相場は、良好な経済指標や米金融当局者の利上げ支持発言により、7月以降のサポートになっていた節目の1300ドルを割り込み、ストップロスの売りで急落しました。
ドル建ての60分足でみると、急落の勢いがよく分かります。
投機筋のポジションは、5月末頃から買い越し1000トンで推移していましたが、905トンまで大きく減少しています。
1000トン越えでこれまでにない5か月の長期に渡って推移していたため、年1回の利上げは織り込んでいると思われましたが、買いが膨らんでいた分、手仕舞い売りで急落を招きました。
さらに下落しており、900トンを割り込んでいる可能性があります。
さて、週末の注目の雇用統計は予想を下回ったものの悲観するほどではなく、12月FOMCで利上げ可能性がくすぶる結果になりました。
金相場の今後
今後の金相場ですが、私は1250ドルで一旦目標値に達したとみています。
200日移動平均まで下落したこと、RSIは30割れから戻してきている点、取組からみても6月からの上昇分が帳消しになっていることから、目先は自律反発があると思います。
しかしながら、それから高値を追うには材料不足です。
仮に、今後の経済指標等で、年内利上げが難しいという状況になれば上昇するでしょう。
新たに二つの点に着目
一つは、金の現物市場です。
先物市場が下がっても金ETFは減少しませんでした。
また、現物市場が活発に動きはじめています。
先物市場主導で下落したところに、現物市場では買いが入っており、底値形成になる可能性があります。
二つ目は、円安への転換が期待できることです。
一目均衡表の雲で上値を抑えられていたドル円ですが、ここにきて雲を上抜き、円安の方向へ転換する期待が出てきました。
雲をサポートに円安の動きを見せると、東京金市場の押し上げ要因になります。
下値は現物の買いで支えられ、為替の円安で押上げが期待されます。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。
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