暑い夏、貴金属相場は仕込みの夏へ
目次
●ファンドの建玉:調整進む
●貴金属:出直り待ち
●為替:東京商品には好環境
貴金属相場は、狭いレンジでの推移は変わっていませんが、ファンドの建玉や為替面で今後の期待がもてる状況になってきました。
ファンドの建玉:調整進む
まずは、ファンドの建玉ですが、買い越しが縮小して、買い玉の整理が進んでいます。
金は、10万枚を割り込むまで買い越しが減りました。
今年に入っての調整局面では、10万枚前後まで減ると、相場は反転していました。
買い越しの整理が進み、反転へ期待したいところです。
銀相場は、2万6千枚まで減少してきました。
昨年末から積み上がってきた買い越し分は、ほぼすべてはき出したといってよいでしょう。
結果論ですが、今年10万枚まで積み上がったところで、高値警戒を示唆しておりましたが、そこがまさに売り場でした。
白金は、8千枚ほどで、ここ数年での最低ラインを更新してきています。
人気離散で、ファンドも見向きもしていない状況です。
また、フランスのマクロン大統領が2040年、ディーゼル、ガソリン車を全面禁止にする目標を示すなど、引き続き将来への不安感が市場の滞留しています。
ただし、誰も見向きもしない、人気が完全になくなったところは、振り返ってみれば投資のチャンスともいえます。
貴金属:出直り待ち
では、現在の相場の状況を確認しておきましょう。
NY金は、相対力指数が30割れの状況です。
NY銀も相対力指数が30割れ、直近では金よりも弱い状況です。
金と銀の比価をみると、現在77倍程度で、歴史的にも割安になっています。
過去、2003年、2008年、2016年で金と銀の比価が80倍になったところが大底になっていることを考えると、現在の割安さがうかがえます。
白金は、相変わらず3300~3350円の狭い動きですが、相場とオシレータの逆行は継続しています。
白金相場の戻りを期待する上では、このタイミングで上に抜けておきたいところです。
為替:東京貴金属には好環境
主要通貨の動きをみると、ユーロドルではユーロ高へ、ユーロ円もユーロ高、ドル円はドル高になっています。
従って、主要通貨の強さは、ユーロ>ドル>円の順番です。
この状態では、ユーロに対してのドル安、ユーロやドルに対しての円安となることから、東京貴金属にとって、ドル安を受けてのドル建ての上昇、為替の円安の恩恵を受けやすく、本来上昇が期待できる好環境にあります。
ドル円は、先週のコラムで、テクニカル面からみて円安への動きとお話しましたが、円安が進んでいます。
この為替の恩恵と、ファンドの建玉整理が進んでいることから、これから夏場の貴金属相場は、買い仕込みのよい場面になるとみています。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。
当コラムの筆者、萩原航のセミナーも定期開催中。
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