まずは、先週までの動きを振り返ってみましょう。
ドル建ての金スポット60分足のチャートを見ると、急落する場面はあるものの、下値を切り上げての上昇トレンドが確認できます。
NY金の日足チャートからは、一目均衡表の転換線がサポートになっているのがわかります。
ただし、金相場の上昇トレンドは強いですが、途中で大きな急落があるため、戦略は難しい状況です。
直近でも、ECBの追加金融緩和決定でドル高・ユーロ安になり金は下落しましたが、その後のドラギ総裁の発言でしばらくは追加の金融緩和はないと思惑されて金相場は大きく戻すなど、乱高下しています。
金相場は上昇トレンドの中、変動が大きい相場になっています。
これは東京金も同じです。
それでは、なぜ金相場が上昇トレンドを形成したのでしょうか。
その要因として、投機筋が金を買い進んだことがあります。
CFTCの建玉明細で、投機筋のポジションを確認してみましょう。
投機筋の買い(オレンジの棒グラフ)がついに1000トンを超えてきました。
これは、QE4の思惑で金買いが進んでいた2012~2013年来の積み上がりです。
しかしながら、金の現物市場は、買いがあまりありません。
こちらは、金のフォワードレートのグラフから分かる通り、フォワードレートがプラスに増加しています。
これは、リースレートが下がっていることを表し、モノ余り感がある裏付けです。
このため金の上昇要因は、現物の買いではなく、投機筋の短期的な買いによるものだと分かります。
私は、2月10日頃より1240ドルあたりから上値警戒を示してきましたが、その後30-40ドル上昇しており、この上の部分を買いでとらえることが出来ませんでした。
しかしながら、引き続き上値警戒は必要です。
投機筋の買いが1000トンまで膨らんでいる事実から、買いポジションが一転して解消され暴落する可能性があり、注意を要します。
ここは、短期的に売り狙いが良いでしょう。
順張りで下がったところを売るのではなく、上がったところを売っていく戦略で、売りどころはテクニカル指標で高値警戒が示されたときなど、タイミングをはかることが必要です。
今週は、日銀の政策決定会合や米国のFOMCなど重要イベントがあります。
特にFOMCの発表では、今週から夏時間となったことで金融政策の発表は日本時間3時、総裁の発言は3時半からと、東京の夜間取引時間帯に行われます。
東京市場も大きく動く可能があるため、指値や逆指値などでリスク管理をしておくのがよいでしょう。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。