先週は、重要イベントや各国金融当局の要人発言などもない中で、金相場は週前半は上昇したものの一目均衡表の転換線(青線)が上値抵抗になり、週後半は下落して雲を下抜け4300円を割れてきました。
これまでも転換線が転機になっており、昨年11月は上値抵抗に、今年1月は転換線を上抜けした後はサポートに、そして今回はまた上値抵抗に作用しています。
17日に主要産油国の会合で生産凍結合意に向けた会合が開かれましたが、市場の予想に反して合意がなされずサプライズとなり原油は下落、米株は下落でリスクオフとなり、為替はドル安・円高になりドル建て金は上昇も上値は抑制され、東京金は円高の影響で下落しました。
結論から言うと、ドル安でもドル高でも東京金は現在下がる傾向にあります。
では、なぜそうなるのかについてこれから解説致します。
ドル安・ドル高でもなぜ東京金は下落するのか
まずはNY金のチャートをご覧ください。
チャートを見ると、NY金は一目均衡表の基準線(赤線)と転換線(青線)を割り込み下落が加速しましたが、雲上限をサポートに反発しています。
NY金が底固く推移するなら東京金は、4300円前後で推移するでしょう。
一方で、雲の中に入ってくると三尊天井が意識され、東京金は大きく下げるでしょう。
私はNY金の上値は抑制され、下落に注意が必要だと見ています。
なぜなら、投機筋の買い玉がもう目いっぱいで、これ以上の買い余力がないためです。
こちらはNY金の投機筋のポジション推移を示したグラフです。
投機筋の買い玉(オレンジの棒グラフ)はいよいよ1100トンに乗せてきました。
一方で売り玉(青の棒グラフ)は減少したまま横ばいで推移しています。
つまり、価格の上昇圧力になる投機筋の買いは、新規買いは余力が乏しく、売り玉の買い手仕舞いはすでに進んでおり、どちらの買いも入りにくい状態です。
これからは、何かのきっかけで膨らんだ投機筋の買いの手仕舞い売りに注意が必要です。
当然、売り手仕舞いが進むとNY金の価格下落圧力となってきます。
したがって、NY金の上値は抑えられて、下落圧力が高まっていると言えます。
最後に為替ですが、ドル円60分をご覧ください。
ドル円60分足では、雲の上下に抜けるとトレンドが発生する波動になっています。
現在は雲を下抜け、一目均衡表の転換線が上値抵抗となり、円高トレンドになっています。
先週の107円台を下抜けると、大きく円高が進むでしょう。
為替円高トレンド(ドル安)で、東京円には下落圧力になります。
一方で、ドル安ではドル建ての金が上昇する傾向にありますが、上述のように上値は抑制されており、円高の影響を強く受けるため東京金の下落の流れは続くでしょう。
短期・中期戦略
短期中期の戦略としては、戻り売りです。
安値から50円、100円戻したところは戻り売りをするのが良いでしょう。
一目均衡表や移動平均線など、テクニカル指標を使って、戻しの目安をつけるのも良いと思います。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。