先週、一目均衡表の雲上限まで下落し、目先は戻り売り戦略とした東京金は、わずかに50円弱の戻りで雲の下限割れまで下落しました。
この東京金の下落の要因は為替です。
ドル円の60分足をご覧ください。
先週は、一気に円高が進みました。
111円前後であったドル円は、3円近く、一時107円台まで急激に円高が進みました。
ドル円60分足(2016/2~)
ドル建て金スポット60分足(2016/2~)
本来であれば今年2月のように、ドル安・円高ではドル建ての金が上昇するため、東京金は円高での下落が相殺されるのですが、今回はドル安でも大してドル建ての金が上がらず、東京金の下落が大きくなりました。
その違いは何だったのでしょうか。
なぜ、ドル建ての金はあまり上昇しなかったのでしょうか。
これは2月に比べて、投機筋の買い余力がなかったことが要因です。
こちらは、NY金の投機筋の買い・売りといったポジションの状況を表したグラフです。
2月は投機筋の買いがまだ700~800トン台でしたが、今回は既に1000トンを超えて推移しており、さらなる買いが入りにくい水準にいます。これがドル安でもドル建て金があまり上昇しなかった原因です。
ちなみに、ドル建て金が変わらずにドル円が1円・円高になれば、東京金は40-50円下落します。
一方で、ドル円が変わらずにドル建て金が1ドル変動すると、3~4円東京金が変動します。
したがって、先週はドル円が3円円高になって、東京金は120円~の下落圧力になる一方で、ドル建て金はドル安でも10ドルほどしか上昇しておらず、東京金では、30円~40円の上昇圧力にすぎませんでした。
結果、東京金は大きく下落を余儀なくされました。
今後の見通しと売買戦略
さて、今後の見通しと売買戦略ですが、
ドル建ての金は目先は横ばいか上昇傾向にあり、下げトレンドは一旦終了した可能性があります。
先週急落した東京金は、今週は安値から50-100円戻ると思いますが上値は限定的で、戻り売りが良いでしょう。
ドル円は、60分足では一目均衡表の雲が上値抵抗になる形で、円高トレンドはまだ継続です。
東京金相場は依然として戻り売り優勢の市場です。
結論としては、ドル安でNY金が上昇しても、投機筋の買い余力はあまりなく上値は限定的で、東京金は戻り売りの戦略で臨むのが良いでしょう。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。