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現実味をおびてきたアメリカの利上げ

発行済 2014-08-22 14:27
更新済 2023-07-09 19:32


 アメリカの量的緩和政策であるQE3が、年内に終了することがほぼ確実な情勢になってきた。今年の第1四半期はやや悪かったが、それを除けばアメリカのGDPは堅調に伸び、何よりも失業率が回復してすでに6%前後になっている。FRBは去年の暮から少しずつQE3を縮小しており、予定ではあと2回程度で全て終了する。そうなるとその後に来るのは、政策金利であるFF金利の利上げだ。
 アメリカはリーマンショック後の2009年初めから、すでに5年以上もFF金利をほぼ0の水準に据え置いている。しかし景気がある程度回復してくれば、ゼロ金利を解除して利上げを始める可能性が高い。
 利上げの時期についてはいろいろ言われているが、これまでのところ2015年後半という見方が一番多い。もちろん利上げ予想時期は何らかの材料が出るたびに変動する。米経済について悪材料が出ると利上げ予想時期が遅れ、「2015年末だ」「2016年だ」という声が出る。反対に好材料が出ると、「2015年半ばだ」といった予想になる。どちらにしても、今のところ2015年の半ばから末あたりという声が多い。
 そして利上げ時期と同様に気になるのが、今回は利上げサイクルをいつまで続けて、何%まで政策金利を上げるかだ。これは、利上げ開始時期の次のステップの話である。
 前回の利上げサイクルでは、FRBは2006~07年に政策金利を5.25%まで引き上げた。しかし、来年からFRBの利上げが開始としても、今回その水準まで引き上げる可能性はかなり低いだろう。
 理由はいろいろ考えられるが、まずアメリカの債務水準が2006~07年頃よりもかなり上がっている事実がある。2006~07年頃は米連邦政府の債務は9兆ドル程度だったが、今では約18兆ドルと2倍にも増えている。また対GDP比でも、2006~07年頃は65%程度だったが、今では100%を超えている。債務が増えている以上金利を引き上げると、それだけ国債の利払い額も増えることになるからだ。来年から利上げが開始としても、政策金利はせいぜい2~3%程度にまでしか引き上げられないのではないだろうか。

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