先週末の米国雇用統計は、事前予想より良い結果になりました。
ただし、労働の質はいまいちで、原油も安いため、年4回の利上げ予定及び上げ幅の変更はありませんでした。
そのため、貴金属市場はあまり反応していません。
NY白金市場展望
ただし、東京市場がお休みだった月曜に大きく動きました。
月曜は中国人民元の引き下げにより、中国株が5%も下げてリスク回避の動きとなり、為替は円高が進みました。
休み明けの東京貴金属市場は、東京白金が150円超もの下げになり安値を更新しています。
NY白金市場が急落したことに加え、為替が円高になったために下げ幅が大きくなりました。
NY白金チャート 一目均衡表
NY白金は、一目均衡表の雲が上値抵抗になり急落しているのがわかります。
この下げの原因は、南ア・ランドがドルに対して急激に安くなったためです。
こちらは1/8からの南ア・ランドの動きです。
1/8には、一時9%も急激にランド安が進みましたが、これは中国株安の影響で新興国通貨が弱含む中で、FX市場で一斉にロスカットが起きたことが原因ではないかとみています。
このランド安が原因でNY白金は急落しました。
NY白金の投機筋のポジションをご覧ください。
売りが徐々に減って、徐々に買い越しが増えてきている状態で、買いが残っていた分、手仕舞いが大きかったと考えられます。
ただし、これで投機筋の売買の極みが出たのではないでしょうか。
ランド買いのポジションはきれいに整理され、目先はこの値がランド安の底になると思われます。
また、NY白金は底値圏に近い値位置にあると思います。
注目はこの下げでもNY白金は安値を更新していないことで、今後は底固い動きになるでしょう。
目先は、中国の人民元・株市場が落ち着き、ランドの動きも落ち着くのを待つのが得策です。
NY金市場展望
NY金市場ですが、白金より底固く推移しています。
中国株不安で、金へ資金が流れているのが要因です。
金ETFは先週木曜から増加してきており、フォワードレートはまだマイナスのままになっています。
円高で東京金は下落していますが、NY金はしっかりした動きを見せています。
投機筋のポジションは、ほとんど変化はありませんでした。
まだ売りが多い状態です。
貴金属市場は、目先は中国人民元・中国株の動きにつられるでしょうが、落ち着きを見せれば、底固い相場になると見ています。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。