先週は、雇用統計後の流れを受けて下落しました。
(NY金 日足)
結論から言うと、この下落の要因は短期投機筋の膨らんでいた買いの調整売りです。
問題は、この下落がどこまで続くのか、買い一巡の目処は何かということですが、CFTC建玉明細をご覧ください。
(CFTC建玉明細 NY金)
このCFTC建玉明細は、NY金市場の価格を予想する上で重要な要素である、投機筋(ファンド)の買いと売りのポジションの推移が読み取れます。毎週火曜日の数字を週末に発表するため、最新の数字は2/10(火)現在の数字です。
投機筋の買い(オレンジの棒グラフ)は、960トンから2週間で、800トン前半まで大きく減少しています。特にこの1週間は100トンもの減少です。これは投機筋が買いを手仕舞った(転売した)ことを意味しており、これに連れて相場は下落しました。
2/10(火)現在の数字でまだ800トンあり、翌2/11の下落でさらに減少していると思われますが、もう少し減少すると見ています。目安は、買いが700トン台で、NY金はしばらく上値重いでしょう。
さらに、これまでは買いの手仕舞い売りでしたが、米国の金融政策の利上げ期待が高まったことから、新規で売ってくるかもしれません。そうなるとまだ下落が続く可能性があります。
一方で、こちらの指標をご覧ください。
(NY金とフォワードレートの推移)
こちらは、NY金と金のフォワードレートの推移を表しています。フォワードレートは、金を調達する際のコストであるリースレートを構成するうちの一つで、フォワードレートがマイナスの場合はリースレートが高くなり、金を借りるコストが大きくなる関係にあります。
現在のフォワードレートはプラスから減少して、マイナスに転換しています。これでは投機筋は売りにくくなるわけです。従って、投機筋の新規売りが入ったとしても、それほど本格的には入らず下落は限定的と見ています。
ただし、これまでフォワードレートがマイナスになると上昇する状況がありましたが、それは投機筋の売り玉が膨らんでいる状態の時におこる現象でした。今は、逆に買いが多い状態ですので、フォワードレートがマイナスに転換したからといって、すぐ上昇するわけではありません。
結論としては、目先のNY金は上値は重いが下値は限定的で、もみ合いになると見ています。
さて、東京金は、どうでしょうか。NY金の下落を受けて下落トレンドですが、為替の円安の影響もあってNY金よりも下値は限られると思います。
(東京金 日足)
為替は円安にふれやすく、東京金の下値の目安は4600円の前半~半ばで、底堅く推移するでしょう。東京金は、目先はもみ合いも、中期では強気継続です。
今週2/19(木)は、赤坂のトムソン・ロイター・マーケッツ株式会社様のセミナールームにて、WMTV100回記念特別セミナー開催します。ウィークリーマーケットTVや当コラムでお話してきたことの集大成、また新しい視点から金市場をみるためのポイントをお話します。ぜひご参加ください。
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当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。