先週の動きを振り返ってみましょう。
金相場の見通し
こちらは、NY金日足の一目均衡表です。
先週も堅調な動きとなりました。
利上げを見込んで売りを積み増していた投機筋は、雇用統計以降は利上げ思惑の後退により、その解消(ショートカバー)につとめ、結果的に価格が上昇してきています。
ただし、現在は1200ドルに乗せる手前で一服しています。
目先は、ショートカバー一巡の気配で、調整入りに注意が必要です。
投機筋のポジションをみると、その傾向が顕著に表れています。
青いグラフの売りは、夏場は利上げ思惑から売りが600トン台まで積みあがっていましたが、現在は300トン台へと半減しています。そろそろ売りの買戻しが一巡で、高値追いは警戒が必要になってきています。
一方の買いは、新規の買いが入り、700トン後半まで積みあがってきています。ただし、年内利上げの可能性はまだ残されており、さらに買いが入るかは疑問です。
今年2月の900トン台は、新興国の金融不安が原因でした。現在の利上げ思惑の後退では、その時ほどのインパクトはなく、900トンまで引き続き積みあがることは難しいと私はみています。
直近では、取組高が増えており、さらに新規の買いが800トン台まで増えている可能性があります。
目先は、警戒が必要で、一目の転換線、基準線までの下落が想定されます。
日程を考えると、来週半ばのFOMC(現地・10/27-28)までは調整が続くと見ています。
その後は、FOMCで利上げがなければ、調整後だけに再度買いが入りやすいため、調整後は価格の上昇が見込まれます。
さらに、10/30には日銀の政策金利決定会合があります。
私は追加緩和の可能性が高いとみており、追加緩和になると、日本初の円安への動きとなります。
そうすると、東京金は、上昇するでしょう。
ドル円をテクニカル的にみても、円安に回帰する兆しがあります。
2012年年末、2014年中旬には、一目の雲から大きく上昇する場面が見られます。
2012年は政権交代やアベノミクスで、2014年は日銀の追加金融緩和で上昇しました。
今回も雲に接近してきています。
雲は分厚く、強力なサポートになると思われ、10/30日銀の決定会合はテクニカル的にも重要な局面になっています。
結論として、目先はドル建ての下落に注意が必要で、東京金は100-150円の下落調整が見込まれますが、目先の調整は買い場になるでしょう。
白金相場の見通し
NY白金は、金につれ高、VW問題で売りが金より傾いていたため反動が大きく、1000ドルまで回復しました。
ただし、この上昇には取組高が増えていないため、あくまでショートカバーによる上昇にすぎません。
目先は調整に注意です。
投機筋のポジションの動きをみると、売りが減っていますが、金とは違い買いも減っています。
金よりも実需の動向は良くなく、目先は調整に警戒が必要です。
ただし、ドル円が円安に振れると、金同様上昇が期待できます。
東京金、東京白金ともに、戦略としては逆バリで、目先の高いところは調整を警戒して売り、その後の安値は買い拾う、という戦略が良いでしょう。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。