週末はドル建て金価格は、20ドルほどの急落になりました。
この下落の原因は何だったのでしょうか。
金曜発表の米国の耐久財受注がかなり悪かったために、投資銀行は米国GDPの予想を軒並み下方修正しました。
米国景気の低迷、6月の利上げの思惑が後退したことで、米国債利回りは下がり、為替はドル安になっています。
しかしながら、本来ならドル建ての金価格は上げやすいファンダメンタルズだったにもかかわらず、ドル建て金価格は大きく下がったのです。
この理由となる材料はなく、私はストップロス発動が原因だと見ています。
上のチャートをご覧ください。直近安値1184ドル付近はサポートになっていましたが、この価格帯を抜けたことでストップロスが入ったにすぎず、本来ならば上昇するはずのファンダメンタルズでしたが、下がる結果となりました。
これは悲観すべき下落ではなく、買いのチャンスだと思っています。
なぜかと言うと、二日前(4/22)の動きに注目して欲しいのですが、1184ドルまで急落したこのときに、取組が2.3%も増加しました。
これはかなり大きい増加です。急落で増加しているため、売りの新規が入ったのだと推測できます。
CFTCの建玉明細をご覧ください。これは急落前の4/21時点の数字です。
買いは700トン台、売りは370~80トンです。あまり変化はなく、買いも売りも増減があり得る状況でした。
この後に、急落して取組が増えているため売りの数字が400トン近くに増えている可能性があります。
さらに週末の急落です。この日の取組はまだ発表されていませんが、おそらく取組が増えているでしょう。
つまり、投機筋の売りは400トンを越えている可能性があります。
直近では、400トンを越えると売られすぎの偏りが見られる状態で、ショートカバーが誘発されやすく、今後はショートカバーによる上昇が期待されます。
売りが500トン近くあった昨年の11月頃は、米国の利上げ観測が台頭したことによる売りの増加、価格の下落でしたが、現在は利上げ後退で売りが積み上がるのは難しい状況です。
今週は、FOMC、米国GDP発表という重要なイベントがありますが、この結果をきっかけにショートカバーが出るのではないでしょうか。
まずは、明日発表のNY金の取組高が増えているかどうかを確認しましょう。
最後に、先週お話したユーロドルです。
ユーロドルからは変化の兆しが見られます。
日足では、相場は雲の中に入ってきました。これは過去1年なかったことです。
週足では、週末の終値で転換線を越えられるかがポイントです。
下落し続けてきたユーロドルが、反転上昇するようであれば、ドル建ての金価格には上昇要因となりますので、この変化には引き続き注目です。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。