皆様、今週も宜しくお願いします。
先週はFRBのイエレン議長が議会証言が注目の材料でした。
結果としてややハトよりの中身となっておりました。個人的には2月に発表された強い強い雇用統計を受けて雇用の先行きに強い心配の念を持っているというところが非常に意外感があった形です。
それを受けてドル建ての貴金属市場は金を中心に価格が上昇をしました。ただ、その翌日もしくは翌々日に発表された経済指標が非常に良かった形でしたので、イエレン議長は利上げを急がないという意思表示をしていますが、市場としては6月に利上げがあるかもしれないという懸念を持って値段が下がった形になっております。
最近はそのような動きが続いておりますので、その辺を金スポット価格60分チャートを使って見ていきたいと思います。
金スポット価格60分チャート
去年の12月20日からのチャートです。
これ以前は値段が下がっておりましたが、去年の12月20日少し前は揉み合いになっておりましたが、年明けの1月から値段が上昇してきております。
1つ目はギリシャに対する不安による現物需要としての金買い、2つ目はスイスフランショックを受けての金買いという形になりました。
(CFTC建玉明細 NY金)
いつも見ていただいているCFTC建玉明細NY金で、該当期間を見ていただくと買いポジションだけだと900トン以上の買いになったわけですけれども、ギリシャ懸念の方もある程度一服という形になりまして、かつ買いポジションも多すぎたということから投機筋の手仕舞い売りが出てきました。
それで値段が下がってきた形になります。先週になってから、イエレン議長の議会証言を受けて上がったり、もしくは良い経済指標を受けて下がったりといった形の揉み合いの展開が続き始めました。
なぜ経済指標で、ここまで一喜一憂するかというと以前にお話ししたと思いますが現在の投機筋はスイスフランで騙された感が非常に強いというところがあります。
スイスの中央銀行がフランショックが起きる3日前か4日前に1ユーロを1.2フランを完全に守りきるという発言をしておりましたが数日後にああいったことが起きました。投機筋としては中央銀行を信じられないということなんですね。イエレン議長の発言に当てはめると、利上げを先送りにするという発言をしておりますが、ただ最後は経済指標次第という形になりますので、経済指標が非常に良いともしかすると利上げをする懸念があることが揉み合いの一つの要因となっております。
何故かというと、アメリカで発表される経済指標は雇用以外の部分はどちらかというと悪い物が非常に多いんですね。
実際雇用のほうは2月の数字になりますが、11月に42.3万人、12月に32.9万人、1月25.7万人と合計で100万人の需要なので良いものとなっておりますので、6月利上げがあっても文句がない形ではあるのですが、雇用はいいのですが他の経済指標が悪い、ではアメリカの利上げはどうなのかという話なので経済指標で上げ下げしてしまう状況になっております。
CFTC建玉明細ですが、個人的には上げ下げの中で金の買いポジションが減っているのかと思っておりました。もしかしたら600トン台後半に減っているのかと思いましたが、実際買いポジションは減ったのですが未だ700トン台半ばですので、これだけ買いのポジションが残っている形になるとよい経済指標が出てくると整理売りが出てくると思いま巣ので、なかなか上にいけない状況はCFTC建玉明細よりわかるかと思います。
今週は週末に本命の雇用統計の発表がありますが、それまでは一方向の展開はまだ難しいと、まだ揉み合い、その後に方向性が出てくるとすると雇用統計の結果を受けてという形になると思います。ちなみに雇用統計の結果が悪いというか6月の利上げを肯定するような結果でなければ貴金属市場と株式市場は上がってくると思います。逆に雇用統計が30万人とかの悪い数字が出てくると売られてくると思います。ただ東京市場に関しまして、為替が揉み合いの中から円安に抜けかけてきていますので円安に振れて行くと思いますので、さほど下値の不安はないかと思われます。
売買戦略としては、個人的には中長期的には円安が国内の貴金属市場の価格を押し上げると思っております。売りはなしで突っ込んだ不意の安値を買っていくという形ですね。
続いて、白金が最近面白い動きが出てきましたのでお話ししたいと思います。
(東京白金鞘チャート)
白金の1番限と先限、2番限と先限、3番限と先限の価格差をグラフにしたものです。
(白金値段表)
先週は東京貴金属市場は納会がありまして、15年2月限がなくなりまして16年2月限が生まれました。その納会した後に急速に鞘が縮まってきました。2番限と先限の価格差が一気に20円、1番限と先限の価格差が30円縮まる状況となっております。何を言いたいかというと、おそらく白金の現物不足が本格化してきた兆しなのではないかと思っております。
具体的に白金の鉱山会社やメーカー側から物が足りないといった具体的な情報が出たわけではないのですが、鞘の縮小というのは具体的な話がない中でも変化が出てくるものですので、鞘の縮小の変化が白金の貴重な変化を現してきているのかもしれません。相場格言に鞘の変化は貴重な変化というの言葉がありまして、白金はまさしくそのような形になっております。
先週の半ばころ納会が終わったころから、実際金より白金の値動きが強いたびたび見受けられるようになりました。この辺も白金が貴重な変化を示し始めている表れかもしれません。去年から鉱山のスト云々で物不足といわれている中でなかなか白金は上がらない、金よりも100円以上安いシーンがたびたびあるということで白金どうなっているのという雰囲気になってきましたが、そこからちょっと出直りになっているのかと感じさせます。
(CFTC建玉明細 NY白金)
赤いグラフが投機筋の買いポジション、青いグラフが投機筋の売りポジションの変化となっており、オレンジが差引となっております。
オレンジのグラフは去年の中で見ますと大分少ないところまで来ています。買いポジションが減ってきましたということですが、もう一つ青いグラフですが、去年一番のピークであった30トン台の後半を現在は上回る40トン台前半の数字まで伸びてきています。どういうことかといいますと、投機筋が現段階で売りポジションを増やして来ているということになります。売りポジションの増加は将来的には買戻しの元になりますので、そういったことを考えますと今日あたりは高いのですが、もしかしたらショートカバー、踏み上げといった期待できる中身になってきている状況かも知れません野で、ここを注目していただければと思います。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。