注目の雇用統計は、非農業部門雇用者数、失業率、賃金上昇率ともに事前予想より悪い結果になりました。
この結果を受けて、ドル建ての金は、1310ドル前後から1330ドルほどまで上昇しています。
60分足で見ると、短期トレンドは抵抗になっていた一目均衡表の雲をブレイクして、下降トレンドが転換しました。
雇用統計はここ3ヶ月の平均は悪くなく、9月の利上げを見込む見方もありますが、私はこの見方には疑問です。
昨年12月に、雇用統計の結果を踏まえて、米国は利上げに踏み切りました。
ドル建ての金もダウも12月中は動きはありませんでしたが、ところが年が明けると、中国株が下落、ダウも世界の株価も下落するなど不安が高まりました。
この世界同時株安を招いた要因は、12月に行なわれた米国の利上げにあると、私は見ています。
世界株安で不安が高まったことから、米国は金利を上げたものの元に戻すのではないかとの思惑からNY金は急上昇した経緯があります。
その間、ドル円が120円から115円、112円と円高になっていますが、東京金はドル建て金の上昇を受けて、500円ほどの大きな上昇になっています。
活気づいてきた9月利上げ観測ですが、実際には9月の利上げは難しいのではないでしょうか。
NYダウの昨年12月~2月の動きをみると、ダウの下落は米の利上げが影響していると思われます。
現在のNYダウは高値もみあいで、追加利上げに踏み切ると、株価は下落するでしょう。
過去最高値圏にあるNYダウの調整はそれなりの下落幅になる可能性があります。
11月には米の大統領選挙があり、選挙戦に影響するため、株価の大きな変動は望ましくないでしょう。
私は、9月は利上げは行わず、12月になると見ています。
そのため向こう3カ月は金融緩和が続くでしょう。
先に示した通り、ドル建ての金は上昇トレンドが発生しました。
他の貴金属でも同様にブレイクしています。
短期・中期では、トレンド転換が色濃い状況です。
投機筋の買い越しは、1000トンを割り込み、買いの整理が進みました。
1000トン割れはぼちぼちいいところで、買いが入ってくるでしょう。
白金も買いの整理により、買いが減って、買い余地が出てきました。
ランド安に戻りを見せていたランドが、再度ランド高になりつつあり、これが白金の上昇を支えるでしょう。
縮小から一時拡大に動いていた白金と金のサヤ(価格差)は、再び縮小に向かう傾向にあります。
このサヤの縮小を狙って、白金買い、金売りを仕掛けるいいタイミングに来たのではないでしょうか。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。
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