皆様今週も宜しくお願いします。
まずは、金ドル建て相場の動きをNY金日足チャートで振り返ってみたいと思います。
去年の12月からのチャートとなっております。赤丸の部分は後程説明させていただきますが、先週大きく動いた要因の一つはイエメンに空爆がされたということです。
チャートで見ますと上髭が出ている陽線のところになります。地政学上のリスクの高まりから金が買われましたが、東側と西側、特にロシアとアメリカが大きくことを構えるような状況になりませんので、イエメンへの空爆の反応は一時的という形になりました。
上髭の長いところから下落をしまして、今日の値動きとなっております。このような有事の金買いはたびたび見られるのですが、長続きはしないということが多く見られますので、ああいったときはド短期で買い玉の利食いを考えられたほうが良い場面と思われます。
いつものようにCFTC建玉明細で変化を確認してみましょう。
実はNY金日足チャートの赤丸とCFTC建玉明細が動きが関係しておりますので見ていきたいと思います。
基本的には買い越しで推移している形ですが、先週1週間の変化が、先週の買いから今週発表された買いは全く変わっていない、売りもほとんど変わっておりません。それによって買い越しも変わっていない形となっております。
その期間の変化がNY金日足の赤丸内の動きになります。18日から24日の変化が連続の陽線が出て安値から30ドルから40ドルの上げ幅を見せているのですが、個人的には売りポジションが400トンの大台に乗っていますので、この売りポジションの買戻し、いわゆるショートカバーによる上昇と思っていたのですが、今週発表されたCFTC建玉明細を確認しますと売りも買いも変化していない状況で、稀にみる変化となっております。
こうなった要因ははっきりとわかりませんが、ただ今後の相場への影響を考えますと未だ売りポジションが多いといえますので、イエメンの空爆により売りポジションは減っているかもしれませんが、この程度の上昇で50トンも60トンも減っているとは考えられませんので、いまだに400トン台の大台は載せている状況ですのでいわゆる売りポジションが多いという環境になっております。
そういった環境を考えますと、今週は週末に月に一度のアメリカの雇用統計が発表されますが、この結果を受けてショートカバー、売り玉が非常に多いものですから踏み上げによる上昇があるのかなと推測されます。雇用統計の数字は非常に大きく上にも下にもぶれる指標ですので、事前に予想することは意味がないと思っております。ただ、あくまで個人的な見解は雇用は悪いのではないかと思っております。
そういったことを考えるとショートカバーの誘発、1200ドルをもう一度超えてくる動き、雇用統計の雇用者数の数字がたとえば20万人に近い数字になるとか、2月の数字があまりにも良い数字が下方修正されるという形になった場合、1210ドル、1220ドルといったイエメンへの空爆での動きを超える値段になるのではと思います。
雇用統計に向けては、今週は材料難になるということから、国内外とも金を中心に貴金属は揉み合いという形になると思われますが雇用統計後のショートカバーを考えると揉み合いの安値は買いなのかもしれません。今日の東京の金市場は比較的大きな下げとなっておりますので、ある意味初押しとも言えますので、そういった意味では少し買い場ではないかと思われます。
需給は、需要の方は池水氏のレポートより顕著のようで、これからの時期インドのほうでは金の需要が高まる時期という話になるものですが、フォワードレートの変化を見ますとマイナス圏、先週半ばぐらいからプラス圏へ転じてきています。値段が上がったことによる実需の買いはコンスタントに入っておりますが、2週間ぐらい前と比べますとちょっと落ちているのかなと思います。インドの実需買いのほうも、まだ、それほど多く盛り上がっている時期ではないといえますので、ある意味実需からの押上げは高値からでは期待できないと思います。
当然1150ドルとか、1170ドルなどの安い値段では実需買いが盛り上がると思いますので、またフォワードレートがマイナスになってくるかもしれませんが、現時点での値段からの押上げ要因になっていないという形なので、今週は派手な値動きはないのかなと思います。やはり大きな動きを見せるのは雇用統計後かと思われますので、来週は雇用統計を受けてのお話をしたいと思います。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。