先々週末の米国雇用統計の好結果を受けて、今週に控えたFOMCでは利上げが決定的になっています。
その中で貴金属相場は雇用統計を受けて大きく反発していましたが、先週一週間はもみあいになりました。
NY金相場展望
まずは、NY金相場からみてみましょう。
雇用統計を受けて上昇したものの、1087ドル台が上値抵抗になり相場は反落しました。
ただし、一目均衡表の転換線がサポートになっています。
NY金がもみあいの中、東京金は円高が原因で下落しています。
その円高傾向になったドル円相場は重要なところにきています。
こちらはドル円の週足(2012/1~)ですが、先週の下落により、一目均衡表の雲及び基準線や、転換線の値位置まできました。
ここは重要なポイントです。
ただし、この121円割れは強力なサポートラインになると思われ、一段の円高はないだろうと見ています。
日銀は追加の金融緩和に含みを持たせており、一方で政府にとっては来年の参院選に向けて、円高・株安の不安は好ましくありません。
日銀と政府で何らかの手を打ってくると思われます。
さてNY金相場に戻って、投機筋のポジションを確認しておきましょう。
こちらはやや売りが減り、買いが増えていますが、あまり変化はありません。
未だに売りポジションが整理されず積み上がったままで、買い戻しが入りやすい地合です。
今週は、FOMCがありマーケットは利上げを見込んでいます。
利上げしなかった場合は逆に大変なサプライズになり混乱するため、FRBは利上げを決定するでしょう。
ただし、そのペースはゆっくりにする旨の声明になると思われます。
現在はFOMCを控え、また原油安で不安定なマーケットですが、FOMCで利上げが決定されれば、落ち着くでしょう。
NY白金相場展望
NY白金は、安値で低迷です。
先週末は、NY株が安かったこともあり、工業銘柄である白金は下落しました。
金同様に直近安値は更新していませんが、基本もみあいになっています。
その間、東京は円高で下落しています。
注目すべきは、白金の主要産地である南アの通貨ランドとの関係です。
NY白金はランド安が進む中でドル建ての採算値が下落し、相場は下落してきました。
先週ランドはさらに安値を更新しました。
それはなぜでしょうか?
要因として、ドルの利上げが意識される中でランドからドルに資金が流れていること、また南アの財務大臣の解任騒動による信用の低下があります。
日足でみてみると、最安値を更新した後、週末は一転ランド高になっています。
これは大臣が解任された後、金融に疎いと思われる新しい大臣が就任したことが信用低下を招いてランド安を更新、その後再び解任され、今度は元財務大臣経験者が就任したことで信用を取り戻す、というドタバタ劇が背景にあります。
そんな中で注目すべきは、この一週間ランド安が急速に進み安値更新しても、NY白金はもみあいで大して下げなかったことです。
ファンダメンタルズとのダイバージェンスが見られます。
これが変化の兆しとなるかもしれません。
先週、南アの世界最大の鉱山会社アングロ・アメリカンが大規模なリストラ策と資産の売却を発表しました。
その前には世界の生産量第3位ロンミン社が資金繰りに走っているニュースがありましが、この両社で実に白金の世界生産のうち60%ほどを占めるため注意が必要です。
ランド安にNY白金相が反応しなかった背景には、鉱山会社の経営危機による供給不安があるのです。
最後に白金の投機筋のポジションですが、売りの積み上がりが整理されていません。
白金も金同様に、FOMCがきっかけになり、売りポジションの解消で相場は上昇するのではないでしょうか。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。