先週、金のフォワードレート(Fレート)がマイナス、またRSIからも反発が期待できると強気見通しを維持していましたが、NY金相場はもう一段の下げとなりました。
1060~70ドルでもみ合った後、11/27は1051.1ドルまで下落、11/30は1065ドルまで反発しています。
私は、この一段下げをつけたことによって、相場は切り返す展開に向かうと思っています。
また、この安値では東南アジアでもキロバーの現物が品薄になってきているようです。
(NY金のポイント)
今後のNY金相場を左右する重要なポイントは3つあります。
・Fレートのマイナスが拡大する中、下落の目安は?
・投機筋の売りポジションが今年の最大値に近づいている
・相場とRSIが逆行現象に
まずは、フォワードレート(Fレート)の推移をご覧ください。
11/19よりマイナスになっていたFレートのマイナスが拡大してきています。
Fレートは、金を借りる際のコストであるリースレートを構成する要素で、Fレートがマイナスになると金のリースレートが上昇する関係にあります。
投機筋は、金の投機売りを行うとき金をリースレートで借りる必要があります。
つまり、投機筋が新規で売る場合のコストが、現在上昇しているという状況です。
このFレートですが、マイナスになっても相場は下げ続けることがあり、まだ検証中ですがその下落の目安は13~23ドルです。
11/19に、Fレートがマイナスになった時の1077ドルから、11/27の一段安で1051ドルまで26ドル下げた後、反発しています。
これはまだ検証中ですが、底の目安として注目です。
次に、その投機筋のポジションについて、確認しておきましょう。
最新のデータは11/24付で、売りが少し増えて、買いが減っています。
その後、11/27にNY金相場は一段下げになっていますが、Fレートのマイナスが拡大していることを考えると、おそらく新規売りがさらに積み上がり、売りポジションが増加していると思われます。
今年7月の水準600トン越えまに近づいてきており、投機筋の売りは佳境にきていると思います。
Fレートのマイナスが拡大・リースレート上昇で、投機筋の新規売りのコストが上昇しており、売りポジションの積み上がりも顕著です。
よって、現在はショートカバーがいつ出てもおかしくない状況になっています。
最後に、上のNY金チャートをご覧ください。
一目均衡表の転換線で抑えられており、トレンドは下降トレンドです。
ただし、ここにきて相場とRSIとの間で逆行現象が見られるようになりました。
相場は下落して新安値をつけていますが、RSIは上昇傾向にあります。
テクニカル的にも反転の兆しが見え、切り返しが期待できます。
週末は米国の雇用統計を控えます。
結果が、非農業部門雇用者数が20万人以上の増加となれば利上げは決定的となります。
一方で、20万人以下のふるわない結果になれば、利上げはあやしくなります。
これがショートカバーのきっかけになるかもしれません。
今週は転換点とみて、注目しましょう。
NY白金展望
NY白金ですが、金以上に軟調な相場です。
ランド安が更新されていることが原因で、金よりも戻りが鈍くなっています。
投機筋のポジションですが、思っていたより売りが増加していました。
11/27の下げでさらに増加している可能性があり、今年の最大であった60ドン台に乗せる可能性があります。
金同様に、一目均衡表の転換線で抑えられていますが、これを抜けると反転となるでしょう。
相場とRSIの間で逆行現象がみられ、ランド安の懸念はありますが、金につれた動きを考えて反発が見込めるでしょう。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。