■業績の動向
1. 2018年6月期決算の分析
マーケットエンタープライズ (T:3135)の2018年6月期決算は、売上高6,333百万円(前期比12.5%増)、営業利益96百万円(前期は7百万円の損失)、経常利益94百万円(同4百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益31百万円(同19百万円の損失)と2ケタ増収・黒字転換で着地した。
期初予想との比較では、売上高は4.0%(267百万円)下回ったものの、営業利益、経常利益はそれぞれ75.4%(41百万円)、86.3%(43百万円)上回った。
売上高が計画を下回ったことについて同社は、第4四半期において、販売価格が高く売上総利益率の低い商材の仕入シェアが想定を下回ったことと、高価格帯で長期滞留在庫となっていた商材の在庫量を圧縮(大幅に価格を引き下げて販売)したことの2つの理由を挙げている。
一方利益が計画を上回った理由については、営業利益率の高い農機具や通信が想定以上の売上高となり、プロダクトミクスの改善によって利益率が想定以上となったことが原因としている。
前期との比較では、売上高は前期比12.5%(703百万円)の増収となった。
これを既存ビジネスと新規ビジネス※とに分けると、既存ビジネスが同0.4%(22百万円)増の5,534百万円、新規ビジネスが同571%(680百万円)の799百万円となり、今期の増収は新規ビジネスがけん引したことがわかる。
※同社は2018年6月期から売上高について既存ビジネスと新規ビジネスとに分けて開示している。
既存ビジネスとは、家電やカメラ、時計、楽器などの個人向けリユースで、同社の創業事業だ。
一方新規ビジネスは、農機具や建機、医療機器など法人向けリユースやレンタル事業、子会社の(株)MEモバイルで手掛ける通信事業、自社サイトからの広告収入であるメディア事業などから構成されている。
新規ビジネスの中の内訳は開示されていないが、農機具と通信事業が好調だったことから、これら2つの商材が大きな比重を占めているものと弊社では推測している。
営業利益の増減益要因分析は以下のようになる。
増収効果(305百万円)と粗利益率の改善(7百万円)で粗利益が312百万円増加したものの、一方で在庫処分損(98百万円)が発生したため、売上総利益の増益額は最終的に213百万円となった。
販管費の増加が109百万円にとどまった結果、営業利益は103百万円の増益となり、前期の7百万円の営業損失から今期は96百万円の営業利益へと黒字転換を果たした。
在庫処分損がなければ営業利益は200百万円に迫っていたことになり、農機具と通信事業の収益性の高さがうかがえる内容だった。
西東京と札幌にリユースセンター開設、仕入基盤の拡充が着実に進捗。
今後は中長期的施策の実施に焦点
2. 成長に向けた施策の進捗状況
同社は2018年6月期の始まりに際して、中長期の成長につながる取り組みとして、「短期施策:仕入基盤の更なる拡充」、「中期施策:販売力の強化」、「長期施策:レンタルビジネスの本格稼働に向けた施策」の3つを掲げて臨んだ。
仕入基盤の拡充については、買取拠点であるリユースセンターを2ヶ所新設した。
第1四半期に西東京を、第2四半期に札幌を、それぞれ稼働させた。
この結果、販管費の増加があったものの、札幌の開設により北海道地区の業容が倍増するなど、仕入の拡大とそれに伴う販売増加という形で、明確な効果が出たもようだ。
札幌については今後、農機具ビジネスの拡大への寄与が期待されている。
また、仕入基盤の拡充策の一環で、ヤフーと提携し、ヤフーが提供する買取サービス『カウマエニーク』のバックヤード業務を同社が担うことで仕入増につなげる取り組みも行っている。
これも同社が期待していた以上の仕入増効果が出たもようだ。
以上のように短期的施策である仕入基盤の拡充は、一定の進捗を達成したと言える。
一方、販売力強化やレンタル事業の本格展開といった中・長期の取り組みについては、2018年6月期は評価の対象外という位置付けではあるが、農機具が想像以上の好調な販売を示したほか、通信も新商材投入で回線数が大きく伸び、業績が順調に拡大している。
また、2018年4月に医療機器のリユース事業を取得して、ポテンシャルの高い新商材を獲得した。
こうした状況を踏まえて同社は、今後の事業展開について、新たな戦略で臨む方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
1. 2018年6月期決算の分析
マーケットエンタープライズ (T:3135)の2018年6月期決算は、売上高6,333百万円(前期比12.5%増)、営業利益96百万円(前期は7百万円の損失)、経常利益94百万円(同4百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益31百万円(同19百万円の損失)と2ケタ増収・黒字転換で着地した。
期初予想との比較では、売上高は4.0%(267百万円)下回ったものの、営業利益、経常利益はそれぞれ75.4%(41百万円)、86.3%(43百万円)上回った。
売上高が計画を下回ったことについて同社は、第4四半期において、販売価格が高く売上総利益率の低い商材の仕入シェアが想定を下回ったことと、高価格帯で長期滞留在庫となっていた商材の在庫量を圧縮(大幅に価格を引き下げて販売)したことの2つの理由を挙げている。
一方利益が計画を上回った理由については、営業利益率の高い農機具や通信が想定以上の売上高となり、プロダクトミクスの改善によって利益率が想定以上となったことが原因としている。
前期との比較では、売上高は前期比12.5%(703百万円)の増収となった。
これを既存ビジネスと新規ビジネス※とに分けると、既存ビジネスが同0.4%(22百万円)増の5,534百万円、新規ビジネスが同571%(680百万円)の799百万円となり、今期の増収は新規ビジネスがけん引したことがわかる。
※同社は2018年6月期から売上高について既存ビジネスと新規ビジネスとに分けて開示している。
既存ビジネスとは、家電やカメラ、時計、楽器などの個人向けリユースで、同社の創業事業だ。
一方新規ビジネスは、農機具や建機、医療機器など法人向けリユースやレンタル事業、子会社の(株)MEモバイルで手掛ける通信事業、自社サイトからの広告収入であるメディア事業などから構成されている。
新規ビジネスの中の内訳は開示されていないが、農機具と通信事業が好調だったことから、これら2つの商材が大きな比重を占めているものと弊社では推測している。
営業利益の増減益要因分析は以下のようになる。
増収効果(305百万円)と粗利益率の改善(7百万円)で粗利益が312百万円増加したものの、一方で在庫処分損(98百万円)が発生したため、売上総利益の増益額は最終的に213百万円となった。
販管費の増加が109百万円にとどまった結果、営業利益は103百万円の増益となり、前期の7百万円の営業損失から今期は96百万円の営業利益へと黒字転換を果たした。
在庫処分損がなければ営業利益は200百万円に迫っていたことになり、農機具と通信事業の収益性の高さがうかがえる内容だった。
西東京と札幌にリユースセンター開設、仕入基盤の拡充が着実に進捗。
今後は中長期的施策の実施に焦点
2. 成長に向けた施策の進捗状況
同社は2018年6月期の始まりに際して、中長期の成長につながる取り組みとして、「短期施策:仕入基盤の更なる拡充」、「中期施策:販売力の強化」、「長期施策:レンタルビジネスの本格稼働に向けた施策」の3つを掲げて臨んだ。
仕入基盤の拡充については、買取拠点であるリユースセンターを2ヶ所新設した。
第1四半期に西東京を、第2四半期に札幌を、それぞれ稼働させた。
この結果、販管費の増加があったものの、札幌の開設により北海道地区の業容が倍増するなど、仕入の拡大とそれに伴う販売増加という形で、明確な効果が出たもようだ。
札幌については今後、農機具ビジネスの拡大への寄与が期待されている。
また、仕入基盤の拡充策の一環で、ヤフーと提携し、ヤフーが提供する買取サービス『カウマエニーク』のバックヤード業務を同社が担うことで仕入増につなげる取り組みも行っている。
これも同社が期待していた以上の仕入増効果が出たもようだ。
以上のように短期的施策である仕入基盤の拡充は、一定の進捗を達成したと言える。
一方、販売力強化やレンタル事業の本格展開といった中・長期の取り組みについては、2018年6月期は評価の対象外という位置付けではあるが、農機具が想像以上の好調な販売を示したほか、通信も新商材投入で回線数が大きく伸び、業績が順調に拡大している。
また、2018年4月に医療機器のリユース事業を取得して、ポテンシャルの高い新商材を獲得した。
こうした状況を踏まえて同社は、今後の事業展開について、新たな戦略で臨む方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)