■決算動向
1. 2018年3月期決算の概要
2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比8.9%減の5,423百万円、営業利益が同1.9%増の742百万円、経常利益が同6.3%増の781百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同11.0%減の419百万円と減収ながら営業(経常)増益となり、過去最高益(営業・経常)を4期連続で更新した。
修正予想(2017年10月31日付)に対しても、売上高は下回ったものの、各段階利益では上回る着地となっている。
減収となった最大の要因は、TDSEの非連結化(持分法適用関連会社への移行)によるものである※1。
また、ライセンス販売の減少のほか、前期と比べて上流工程(コンサルティングや設計)の案件が増えたこと※2も売上高が伸び悩む要因となった。
なお、グローバルビジネス売上については、主要顧客のIT投資が一時的に国内に向かったことから前期比で減少したが、一定水準を継続したと評価して良いだろう(2019年3月期下期以降、再び海外向けIT投資が増える見通し)。
※1 第3四半期から持分法適用関連会社へ移行したことにより、前期比で約4億円の減収要因になったと推定される。
ただ、利益面では、持分法による投資利益(営業外収益)が計上されることから、経常利益以下に大きな影響はない。
※2 ERP導入プロジェクトの工程は、コンサルティング(企画・立案)から分析・設計、開発・導入、保守のフェーズに分かれるが、上流工程(コンサルティングや設計)は開発工程と比べて売上高が増えない一方、利益率は高くなる傾向がある。
利益面では、前述のとおり、工程の違いによる外注費の減少等から売上原価率が低下したほか、TDSEの非連結化に伴う販管費の減少により営業増益を確保し、営業利益率も13.7%(前期は12.2%)に改善。
また、経常利益の増益率が比較的大きいのは、TDSEの持分法適用関連会社への移行に伴う「持分法による投資利益」(営業外収益)の計上によるものである。
ただ、親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券評価損の計上※により減益となっている。
※将来的なシナジー効果の獲得を目的として、2016年4月に出資したベンチャー企業(株)ZenmuTech(旧社名はTCSI)に対する減損(業績見直し)によるものである。
財政状態については、自己資本が自己株式の取得により前期末比6.4%減の3,218百万円に縮小した一方、総資産もTDSEの非連結化(持分法適用関連会社への移行)に伴って同10.4%減の4,189百万円に大きく縮小したことから、自己資本比率は76.8%(前期末は73.6%)に上昇した。
また、資本効率を示すROEは一時的な特別損失(投資有価証券評価損)の影響等により12.6%(前期は14.0%)に低下したものの、依然として2ケタの水準を確保しており、同社の財務内容は良好な状態が続いていると言える。
ビッグデータ事業の立ち上がりや海外売上高の拡大が成長をけん引。
財務基盤の安全性や資本効率性も優れた水準を確保
2. 過去の業績推移
過去の連結業績を振り返ると、2014年3月期から2015年3月期にかけては、将来を見据えた体制整備を優先したことから、売上高の伸びが一旦足踏みしたものの、2016年3月期以降は、ビッグデータ事業の立ち上がりや海外売上高の拡大により成長が加速してきた。
2018年3月期は、前述のとおり、TDSEの非連結化に伴って減収となったものの、その影響を受けない経常利益では4期連続で過去最高益を更新しており、同社業績は順調に伸びていると評価しても良いだろう。
また、経常利益率も業界標準を大きく上回る水準を維持している。
一方、財務面でも、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は高い水準で推移する一方、資本効率を示すROEも10%を超える水準を確保している。
したがって、同社の財務内容は極めて優良と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
1. 2018年3月期決算の概要
2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比8.9%減の5,423百万円、営業利益が同1.9%増の742百万円、経常利益が同6.3%増の781百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同11.0%減の419百万円と減収ながら営業(経常)増益となり、過去最高益(営業・経常)を4期連続で更新した。
修正予想(2017年10月31日付)に対しても、売上高は下回ったものの、各段階利益では上回る着地となっている。
減収となった最大の要因は、TDSEの非連結化(持分法適用関連会社への移行)によるものである※1。
また、ライセンス販売の減少のほか、前期と比べて上流工程(コンサルティングや設計)の案件が増えたこと※2も売上高が伸び悩む要因となった。
なお、グローバルビジネス売上については、主要顧客のIT投資が一時的に国内に向かったことから前期比で減少したが、一定水準を継続したと評価して良いだろう(2019年3月期下期以降、再び海外向けIT投資が増える見通し)。
※1 第3四半期から持分法適用関連会社へ移行したことにより、前期比で約4億円の減収要因になったと推定される。
ただ、利益面では、持分法による投資利益(営業外収益)が計上されることから、経常利益以下に大きな影響はない。
※2 ERP導入プロジェクトの工程は、コンサルティング(企画・立案)から分析・設計、開発・導入、保守のフェーズに分かれるが、上流工程(コンサルティングや設計)は開発工程と比べて売上高が増えない一方、利益率は高くなる傾向がある。
利益面では、前述のとおり、工程の違いによる外注費の減少等から売上原価率が低下したほか、TDSEの非連結化に伴う販管費の減少により営業増益を確保し、営業利益率も13.7%(前期は12.2%)に改善。
また、経常利益の増益率が比較的大きいのは、TDSEの持分法適用関連会社への移行に伴う「持分法による投資利益」(営業外収益)の計上によるものである。
ただ、親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券評価損の計上※により減益となっている。
※将来的なシナジー効果の獲得を目的として、2016年4月に出資したベンチャー企業(株)ZenmuTech(旧社名はTCSI)に対する減損(業績見直し)によるものである。
財政状態については、自己資本が自己株式の取得により前期末比6.4%減の3,218百万円に縮小した一方、総資産もTDSEの非連結化(持分法適用関連会社への移行)に伴って同10.4%減の4,189百万円に大きく縮小したことから、自己資本比率は76.8%(前期末は73.6%)に上昇した。
また、資本効率を示すROEは一時的な特別損失(投資有価証券評価損)の影響等により12.6%(前期は14.0%)に低下したものの、依然として2ケタの水準を確保しており、同社の財務内容は良好な状態が続いていると言える。
ビッグデータ事業の立ち上がりや海外売上高の拡大が成長をけん引。
財務基盤の安全性や資本効率性も優れた水準を確保
2. 過去の業績推移
過去の連結業績を振り返ると、2014年3月期から2015年3月期にかけては、将来を見据えた体制整備を優先したことから、売上高の伸びが一旦足踏みしたものの、2016年3月期以降は、ビッグデータ事業の立ち上がりや海外売上高の拡大により成長が加速してきた。
2018年3月期は、前述のとおり、TDSEの非連結化に伴って減収となったものの、その影響を受けない経常利益では4期連続で過去最高益を更新しており、同社業績は順調に伸びていると評価しても良いだろう。
また、経常利益率も業界標準を大きく上回る水準を維持している。
一方、財務面でも、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は高い水準で推移する一方、資本効率を示すROEも10%を超える水準を確保している。
したがって、同社の財務内容は極めて優良と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)