[ロンドン 15日 ロイター] - 英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル (L:RDSa)のベン・ファン・ブールデン最高経営責任者(CEO)は、ロイターとのインタビューに応じ、エネルギー会社は気候変動問題を巡って投資家や政府から圧力を受けているが、今後数十年、石油・ガス事業で利益を上げる機会は豊富に存在するとの認識を示した。
ただ一部の投資家が石油・ガス事業を「悪者扱い」し、同事業のビジネスモデルが存続不能という「不当な」懸念から、シェル株を売却する可能性はあるとの見方も示した。
環境保護団体や一部の投資家からは、シェルに対し伝統的なビジネスモデルを変更するよう求める声が出ているが、同CEOは「多くの活動家が何を言おうと、石油・ガスへの投資は世界が必要としており、完全に合法だ」と指摘。「(長期間操業できるプロジェクトに投資する以外)選択肢はない」と述べた。
石油の価格・需要動向は見通しが不透明なため、シェルは、原油価格が1バレル=20─30ドルでも採算がとれ、温室効果ガスの排出が相対的に少ない新規プロジェクトを目指している。
同CEOは「経済的・社会的に論理的な根拠があれば、2030年代に入っても上流部門の資産を維持できる」と述べた。
シェルの石油・ガス資産が将来、経済的に採算が取れなくなる「座礁資産」になるとの見方については「本題から目をそらすための煙幕」だと一蹴。むしろ石油・ガス事業への投資不足が供給不足や価格急騰を招く恐れがあるとの認識を示した。
同CEOは「誰も必要としていない石油・ガスへの投資を続け、当社が時代遅れの恐竜になるというリスクよりも、石油・ガスに背を向けるのが早すぎるというリスクのほうが大きい」との見方を示した。
液化天然ガス(LNG)については、目先、供給が過剰になるとしながらも「石油の約4倍のペースで引き続き需要が拡大する」との見方を示した。