[ダーラン(サウジアラビア)/ドバイ 3日 ロイター] - サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは3日、新規株式公開(IPO)のプロセスを開始し、国内のサウジアラビア証券取引所(タダウル)に上場すると発表した。ただ公開する株式数やプライシング、上場日などの詳細にはほとんど言及しなかった。
銀行関係者がこれまでにサウジ政府に伝えたところによると、アラムコの評価額は約1兆5000億ドルになる見込みで、ムハンマド皇太子が約4年前に初めてアラムコのIPO計画を打ち出した際に目指すとしていた2兆ドルを下回るとみられる。
関係筋が以前ロイターに明らかにしたところによると、国内市場で公開される株式は1─2%で、調達額は200億─400億ドルと、中国の電子商取引大手アリババ・グループ (N:BABA)が2014年のIPOで調達した史上最高額の250億ドルを上回る可能性がある。
アラムコのヤシル・アルルマヤン会長は、東部ダーランにある本社で行われた記者会見で「価値を実現し、それを長期的に高めるアラムコの能力から新たな投資家が恩恵を受ける機会となる」と指摘した。
今後10日間に投資家向け説明会を実施し、需要を探った上で、仮条件を決定するという。
海外市場への上場計画に関しては今後決定するとしたが、具体的な時期や場所には言及しなかった。
アラムコのIPOは、エネルギーセクターへの依存から脱却し、収益源の多様化を目指すムハンマド皇太子の野心的な経済改革の一環。
ブラック・ゴールド・インベスターズのゲリー・ロス最高経営責任者(CEO)は「国内市場で少数株式を売却することによって、サウジはアラムコの価値をフェアバリュー以上に押し上げることがより容易になる」と指摘した。
アラムコは、9月に起きた石油施設への攻撃による事業や業績への深刻な影響はないと説明した。同攻撃では当初、生産が半減した。
攻撃を受けてどういった安全対策の強化を図ったかには言及しなかった。
アミン・ナセルCEOは記者会見で、11月9日に目論見書を公表する計画を明らかにした。
アラムコは、IPO業務に関わる銀行として、シティグループ、ゴールドマン・サックス、HSBC、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーなど27行を選定している。
同社はまた、2020の配当を少なくとも750億ドルにすると発表した。評価額1兆5000億ドルに基づくと配当利回りは5%となる。リフィニティブのデータによると、同業の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル (L:RDSa)の配当利回りは6%超。