[ジュネーブ 4日 ロイター] - 米国が昨年発動した鉄鋼とアルミニウムへの追加関税を巡り、欧州連合(EU)は4日、世界貿易機関(WTO)の第一審にあたる紛争処理小委員会(パネル)で撤回を求めた。
トランプ米大統領は2018年、国家安全保障を理由に輸入制限の権限を大統領に与える1962年の米国法に基づき、鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税をそれぞれ発動した。
これに反発して中国、インド、ロシア、トルコを含む9カ国・地域がWTOに提訴。カナダとメキシコはその後、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな協定で米国と合意したことを受け、提訴を取り下げた。
米国とEUは4日、WTOパネルでそれぞれの立場を説明した。国家安全保障に関わる場合にWTOが認めるルール適用除外が焦点となる。
米国は、安全保障は各国が独自に判断すべきものであり、WTOパネルで審理するものではないと強調した。
これに対しEU側は、鉄鋼・アルミ関税は安全保障が目的ではなく、自国の産業振興が狙いだと主張した。
米鉄鋼・アルミ関税を巡る7件の提訴をすべて担当している同パネルはこれまでに、判断を示すのは2020年第4・四半期以降になるとの見通しを示している。このため、パネルの報告が出るのは来年11月3日の米大統領選以降になる可能性がある。